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製あん市場 バラエティ化進む 原料W高騰に活路を模索

製あん市場が広がりを見せている。従来のつぶあん、こしあん、ゆであずきにとどまらず、野菜や季節のフルーツなどを練り込んだあん、カロリーまたは糖質をカットした製品、レンジ調理が可能なしるこやぜんざいなど差別化商品を増やし、需要掘り起こしに力を入れている。背景には原料小豆や砂糖の高騰があり、付加価値商品で単価を上げて利益確保につなげたい考えだ(8月30日付本紙に「製あん特集」)。

あんメーカーでは近年、北海道産小豆を使用した商品に注力してきた。21年の原料原産地表示制度の施行により、得意先の製パン、製菓メーカーから国産の要望が高まり、切り替えが進んだからだ。

だが昨年末から出回り始めた23年度産の国産小豆は、収穫前9月の異常気象が高温障害をもたらし大きな被害を与えた。10a当たりの単収は全国平均125㎏と、前年比70%まで下落。不作に伴い、全国生産量の85%を占める北海道産小豆相場は1俵60㎏当たり4万円台、前年の取引額より約25%跳ね上がった。

また製あんに欠かせない砂糖も、原料粗糖は落ち着いたものの、資材や物流コストの上昇で高値安定が続いている。主原料と副原料の高騰が、製あん業者にWパンチで直撃している。

メーカー各社では、業務用、家庭用ともに段階的に値上げを行うが、現状コストアップに追いついていない。主力はつぶあん、こしあん、ゆであずきだが、打開策の一つとして付加価値商品を強化し、利益を確保しようという動きが加速化している。

製あん専業の橋本食糧工業は、業務用製品で季節あんの製造販売に力を入れている。例えば秋は、さつまいもや栗などを白あんに練り込んだ商品で、季節感を出そうと取り組む製菓、製パン企業へスポット提案を強化する。

北海道のまるぶんでも、野菜や季節の果物を入れたあんを増やし、得意先の要望に応える。主力は枝豆から作るずんだあんで、道内を中心に拡売している。

家庭用ではレンジアップでぜんざいが広がり、今秋に井村屋が糖質オフ商品を投入したほか、谷尾食糧工業が大袋タイプを新発売。また東京の遠藤製餡は、ゼロカロリーや低糖質シリーズに加え、有機原料にこだわった商品などを充実して売場拡大を狙う考えだ。

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