暑い夏、仕事へ向かう途中、道ばたでお年寄りが倒れていた。いま振り返るとそう断言できるが、そのときは判然としなかった。そのお年寄り、意識はあり、路上に寝転んだりブロック塀に座り直したりしていた。暑さでしんどそうなのは明白だったため、声をかけようか迷ったが、素通りしてしまった。
▼すると道路の反対側から若者がさっと駆け寄り「大丈夫ですか」と一言。それを見て反省。きびすを返し、カバンにあった未開封のスポーツドリンクを差し出すと、それを口にし「だいぶ楽になった」とボソリ。恐らく脱水状態にあったのだろう。
▼電車では席を譲る若者も散見される。ここでいう若者とは10代・20代、あるいは30代あたりを意味しており、それよりも上の世代とは異なる価値観を有しているようで、明るい兆しだと思う。
▼「若者」と十把一絡げに捉えるのは避けなければいけないが、今の若者には環境意識が高く倫理観も養われている印象を持つ。それゆえセンシティブでもあり、打たれ弱いようにも見える。食品業界は今、心のありようにも踏み込んだセルフケア商品が勃興期にある。