パックごはんの需要拡大が止まらない。
首位ブランド「サトウのごはん」を展開するサトウ食品(新潟市)では、今春に完了したライン増設だけでは追い付かず、工場の拡張を決めた。
「家庭における非常用の備蓄食だったパックごはんは、いまや常備食、日常食になってきた。食卓出現率も非常に高まっている」。8月22日の新商品発表会で、社長の佐藤元氏が力を込めた。
同社によれば、炊飯器の昨年の国内出荷台数は470万台。2010年に比べて160万台減少した。この間に「サトウのごはん」の販売数は約2.3倍の3.2億パックに躍進。昨年も前年比約11%増と伸びが加速している。
「人口減とともに、家族単位も変わってきたなかで、家庭における炊飯の在り方が変わってきたということだと思う」(佐藤社長)。
19年竣工の最新製造拠点「聖籠ファクトリー」(新潟県聖籠町)では、生産設備を2ラインに増設。2月から稼働を開始し、他工場と合わせ全10ライン、日産123万食となった。
さらに今回、同工場の敷地内に80億円を投じた新工場の建設計画を明らかにした。
26年12月の稼働を目指す。当初は1ラインだが、最終的に2ライン化を視野に入れ、日産40万食の生産力増強をもくろむ。
「不足」喧伝でコメ品薄に拍車 パックごはんがピンチヒッターに
このところコメの品薄感が強まるなか、代替にパックごはんを並べる売場も目立つ。そこへ追い打ちをかけるように南海トラフ地震臨時情報が発表され、お盆時期の特需発生に各社とも慌ただしい対応を余儀なくされた。
「マスコミがコメ不足をことさら強調したことも拍車をかけ、代わりにパックごはんが山のように並ぶ売場もあった。今は本来の営業スタイルができていない。次なる手を打ったものの、新工場竣工までは今の設備でやっていくしかない」(同)。
「サトウのごはん」は業界唯一の厚釜炊き製法を、今年もオードリー出演のCMなどでアピールする。
さらに包装餅では、季節を問わず使える“ちょうどいい”サイズの「シングルパックミニ」で、おやつやおかずなど多彩な用途を提案。芦田愛菜さん出演のCM、YouTubeなどのレシピ動画でも伝える。
また鏡餅では、包材や飾りについてプラから紙への変更を進めるとともに、パッケージを小型化することで環境や物流問題への対応を強化した。