ある地域のフードバンクを取材した。業界団体による商品の寄贈式は和やかに進んだが、フードバンクのスタッフを通じて生活困窮者の実態と食品支援の厳しい現実を思い知った。
▼取材したフードバンクでは所在する市と近隣地域の一般家庭、こども食堂、児童養護施設や母子生活支援施設などに食品を提供している。スタッフは総勢25人のボランティアで運営。賃料や運営コストは会費や寄付、国や市からの補助金などで賄っている。
▼スタッフは手作業で寄贈品を一つひとつチェック、市からの情報をもとに個々の家庭に合った寄贈品をケースに詰め込む。子どもがいる世帯にはお菓子を一番上に入れる配慮も忘れない。
▼生活困窮者はコロナを契機に増加。解雇や雇止めが増えたためだ。一方、22年をピークに食品の寄付は減少している。物価高による買い控えや食品ロス削減で余剰在庫が減少したことと関係がありそうだ。生活苦で手助けを必要とする人はさらに増えている。支援の輪が広がってほしいという願いと、自身も何かを始めなければいけないという思いに駆られた。