種清、集客につながる提案 地域は高知県にフォーカス

 菓子卸の種清は7月9日と10日の2日間、ポートメッセなごや(名古屋市港区)で「2024年種清秋季見本展示会」を開催し、前回の展示会と同様に「CALL IN(呼び込む)」をテーマに掲げ、集客につながる商品や売場の提案を多彩に行った。

 「CALL IN」のテーマには、さらなる経済促進への期待感が込められている。

 7月9日挨拶した広瀬弘幸社長は「物価高が続くものの、インバウンド消費や金融市場の好調で景気は緩やかに回復する見込みを示している。今後はさらなる人流増加や減税による個人消費の拡大が期待される」と語る。

高知県の多彩な菓子が集結 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
高知県の多彩な菓子が集結

 地域では高知県にフォーカス。25年度前期のNHK連続テレビ小説「あんぱん」のモデルとなる、「アンパンマン」の作者・やなせたかしさんの出身地が高知県香美市。NHK連続テレビ小説「らんまん」放映時の23年と同様に、再び高知県に注目が集まるとの見立てのもと高知県の多彩な菓子が一堂に会した。

 災害が多発していることを受け防災菓子のコーナーも設置。防災菓子の重視ポイントとして“すぐに栄養チャージ”“親しみやすい”“おいしい”の3つを挙げる。

 “お菓子で復興応援”の切り口では北陸フェアを紹介。石川県が2月1日開始した「能登のために、石川のために、応援消費おねがいプロジェクト」などをアピールした。同プロジェクトは、飲食店や販売店で共通のロゴを店舗や商品に貼り応援消費の機運を高めるものとなる。

北陸フェアのブース - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
北陸フェアのブース

 今しかできない参加型の体験やコンテンツを楽しむ“トキ消費”の活発化を受けて設置されたアミューズメント型売場では、オリジナルの販促物などを用いて非再現性の高い売場を提案した。

 汎用性も訴求。「料理の一品になるようなお菓子」と題したコーナーでは、ビスケット・米菓・グミ・飴などの主要NB商品に一手間加えてつくるレシピを公開した。

 半生や米菓、ビスケットなど、温めるだけでおいしくなる商品の紹介コーナーも設けた。
 「秋に美味しい食感のコーナー」では、“第4次ブーム中”とされるさつまいも使った商品を集結した。
 そのほか、年末に向けた大容量菓子のコーナーや半生商品を大集結させたコーナー、吊り下げ商品の展示企画などが催された。

広瀬弘幸社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
広瀬弘幸社長

前期(3月期)実績 グループ売上高1077億円 種清単体は売上高795億円

 同社は2025年を最終年度とする第五次中期経営計画「Change&Challenge2025(変化と挑戦)」を策定し、物流コスト高騰への対応・売上と収益の拡大・新たなビジネススタイルへの変化などに取り組んでいる。

 中計最終年度にグループ売上高1100億円を計画する。

 前期(3月期)のグループ売上高は1077億円となった。種清単体では、新規取引先の開拓や既存得意先からの帳合獲得などにより前期売上高は前々期比9.6%増の795億円、経常利益は増益になったものの3億円の目標は未達となった。

 中計2年目となる今期は「繁栄へ 踏み出す一歩 前進し 皆のちからで ゴール目指して」のスローガンのもと、種清単体で売上高820億円、経常利益3億5000万円を目標に設定する。

 重点施策の1つの物流基盤の再構築の取り組みでは、前期に、みなと物流センターと藤前物流センターを弥冨物流センター・四日市物流センターに移転し、搬送ロボットなど新たなマテハン機器の導入など生産性向上に向けた取り組みを開始した。

 7月には、袋井物流センターの静岡流通センターへの統合を完了する。なお営業面では前期、静岡営業所を県中央に開設して静岡地区での営業力強化を図った。

 物流の荷受け側の対策としては入荷予約システムを導入するなどして、ドライバーの待機時間・荷下ろし時間の削減を目指す。

 入荷予定データを活用した入荷検品の簡略化、伝票レスも促進していく。猛暑対策による事務所の移転や保冷環境の強化に関する状況を検証し夏季の品質を高めていく。

 情報システムの安全・安定運営の強化にも取り組む。

 物流基盤の再構築と並ぶ重点施策としては「新たな商流(チャネル・商品開発)への挑戦、地域密着型営業の進化」「経営基盤の強化、採用計画の促進と人材基盤の強化」を掲げる。