「毎日暑いね」「今からこんなに暑かったら8月には50℃超えちゃうよ」。昔の漫才でこんなやり取りをよく聞いたが、さすがに笑えない状況になってきた。こういうのも「嘘から出たまこと」というのだろうか。炎天下を歩けばすぐに汗だく。冷房の効いたコンビニで涼を取る。3回も繰り返せばすっかり“整い”そうだ。
▼十数年前、当時の首相がカップ麺の値段を聞かれ「400円ぐらいか」と答えた。庶民の暮らしが分かっていないとずいぶん叩かれたが、これも現実が追い付いてきた。ちょっとお高い商品なら、いまやその水準まできている。
▼ここ数年で急激に進んだ物価高。人々は節約志向を強めているが、それでも自分が価値を認めたものには出費を惜しまない、メリハリ消費が進んでいるという。ただ、これも消費の二極化や価値観の多様化が言われ始めた頃とは様相が違っている。
▼現実は、高単価・高付加価値のものを購入できる層と、低価格のものしか手に入れられない層の選り分けが鮮明になってきた。本当の二極化へ加速度を増している気がしてならない。