キリンホールディングスは6月14日、ファンケルの完全子会社化へ株式の公開買付(TOB)を行うことを発表した。
ヘルスサイエンス領域を新たな成長の柱と位置付けるキリンHDでは、19年にファンケルの株式33%を取得し資本業務提携契約を締結。素材・商品・ブランド開発や、共同研究・事業開発、インフラの相互利用などで協働を進めてきた。昨年にはオーストラリアの健康食品大手ブラックモアズ社を買収し、アジア太平洋地域を中心とした海外市場でもヘルスサイエンス事業の基盤強化を図っている。
長年の免疫研究やバイオテクノロジーを駆使した付加価値素材の開発、海外の事業基盤を強みとするキリンHD、主力とする直販チャネルで培った顧客基盤とそれを生かした商品化技術を持つファンケル。完全子会社化を図ることで経営資源の相互活用や一体的経営を推進するとともに両社が持つ独自の強みを相互補完し、競争優位なビジネスモデルの構築を加速させる。国内だけでなくグローバル市場でも存在感をさらに高める考えだ。
完全子会社化の完了後は、国内外の事業基盤や購買データの相互活用の強化、共同研究の深化、環境技術の水平展開などさらに多方面でのシナジー効果発揮を目指す。
キリンHDでは「ファンケルの企業価値の最大化を目指すとともに、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス事業へ成長するべく両社が緊密に連携しながら事業を推進することで、キリングループ全体の成長を実現させ、企業価値の一層の向上に努める」としている。
公開買付期間は6月17日~7月29日。買付価格は2690円。14日は朝から一部で報道があったことから、ファンケル株価の終値はストップ高の2284.5円(前日比+400円)をつけた。