全国菓子卸商業組合連合会の二木正人理事長(二木・会長)は5月28日開催された通常総会で、菓子メーカーに対し減量値上げをやめて価格転嫁を引き続き呼びかけていく考えを明らかにした。
あらゆるコストが増大するなか、コスト吸収策として菓子業界では長らく慣習的に量目を減らして実質的に値上げをする減量値上げが行われているが、減量値上げは卸業の利益改善には結びつかない。
二木理事長は「メーカーさまは上代(小売価格)を変えなくても減量すればコストが下がるため粗利は伸びるが、われわれ卸の粗利は変わらない。人件費や物流費が上がり営業利益は自ずと減ってしまい、これがさらに続くと経営的には非常に苦しくなる」と悲鳴を上げる。
中でも中小の菓子卸が苦境に立たされ、人手不足なども深刻化しているという。
「卸の業界でも生産性を上げて粗利を増やしていかなければならない。増やした粗利を従業員の給料に反映させて、優秀な人材がほかの業界に流れないようにしなければならない」と語る。
優秀な人材に菓子の新販路を開拓してもらうことで、業界の売上規模を拡大してメーカーにも貢献していくとの青写真を描く。
二木理事長のこれまでの呼びかけもあり減量値上げは減少傾向にあるという。
ただし「菓子業界はほかの業界に比べて粗利率がかなり小さい。一昨年と昨年を比べると、小売さまと卸の粗利益率が若干増えているが、まだまだ全然足りない」と述べる。
一方、菓子の需要は拡大傾向にある。
全日本菓子協会の「令和5年 菓子生産数量・生産金額及び小売り金額(推定)」によると、2023年は生産量199万6千411t(前年比1.9%増)、生産金額2兆6千701億円(同5.6%増)、小売金額3兆6千835億円(同7.2%増)となった。
懇親会であいさつした全日本菓子協会の太田栄二郎会長(森永製菓社長)は、シニア需要の増加や少量で高付加価値商品を求めるシニア層の消費動向、インバウンド需要の拡大などから「国内の菓子需要については悲観していない」との見方を示す。
今後、政府の電気料金負担軽減措置の終了や主原料の安定調達が問われるなど先行きが不透明な中、続いてあいさつした江崎グリコの江崎勝久会長と岩塚製菓の槇春夫会長CEOは、製配販が協力し合うことを呼びかけた。