東京都墨田区は、墨田区内のものづくり企業とスタートアップ企業との共創を促進すべく、同区に本拠を置くアサヒグループホールディングスとの取り組みを強化していく。
その一環として、アサヒ飲料は同区の共創の新拠点「墨田区産業共創施設(SIC)」で炭酸飲料を提供するほか心身の健康を目的とする炭酸に関するセミナーを開催する。
墨田区は1979年に全国の自治体に先駆けて中小企業振興基本条約を制定し、かねてから産業振興に注力。現在も多種多様な工場が集積し、その数は東京都内で第2位に上る。
SICは、スタートアップ支援を軸足に、ものづくり企業が下請け体質から脱却して稼げる体質に改善していくことなどを視野に2023年10月に開設された。
SIC開設の旗振り役を務めた墨田区の山本亨区長は4月19日、会見に臨み「墨田区の歴史を振り返ると部品製造や伝統工芸などとにかく歴史のある事業者が多く、後継者が不足していたりする。社会情勢が変わる中で、SICでスタートアップとマッチングし、様々な企業からご支援いただくことで墨田区の技術をアピールするとともに産業集積のアップデートを実現する」と意欲をのぞかせる。
アサヒに対しては「墨田区といえばアサヒさん。この関係は説明するまでもない。アサヒさんの企業イメージや製品が区全体に広がり、炭酸の研究成果がアサヒを通じて浸透していくことは区にとってとてもいいこと」と期待を寄せる。
SICには、スタートアップに共創を育む場を提供する集積機能をはじめ、プレゼン機会の提供や専門家の相談窓口などの支援機能、先輩起業家などとのコミュニティ形成・情報発信機能がある。
スタートアップの対象には、アイデアだけを持つ人や墨田区内の学生起業家も含まれる。起業家精神を育むことを目的に墨田区の子ども向けのワークショップは月10回以上開催されている。
アサヒには学生起業家の育成の役割も期待する。
「墨田区には大学が2つあり、学生の学ぶフィールドとしてアサヒさんに絡んでいただくと非常に墨田区にとって、また学生や大学にとっても素晴らしいこと」と述べる。
これに対し、アサヒ飲料の林未知香マーケティング本部マーケティング一部長は「今回はアサヒ飲料との取り組みになるが、様々な取り組みをアサヒグループとしてさせていただいている。今後も末永く広範囲で取り組みをさせていただきたい」と語る。
アサヒ飲料は4月と6月の2回、SIC利用者に大人向けの有糖炭酸飲料「WILKINSON GO テイスティグレフル」を提供する。
同商品の提供について、香山宏マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダーは「だるさを感じる午後の停滞しがちな時間帯に飲んでいただき、もうひと頑張りを後押ししたいとの思いを込めた」と語る。
6月には、アサヒ飲料と墨田区初の大学iU(情報経営イノベーション専門職大学)の学生とのアイデア共創の場も設ける。
なお、SCIの会員数は現在212社。
その内訳は、スタートアップ47社・墨田区内事業者27社・パートナー会員51社・起業家などの会員35社、スタートアップや起業を検討している準会員52社。