イオンは10日の決算説明会で、プライベートブランド「トップバリュ」の前期(2月期)売上高が前年比10.9%増の1兆10億円となり、1兆円の大台を突破したことを明らかにした。
賃金上昇を上回る物価高が食品を中心に続く中、「トップバリュ」で2500品の新商品・リニューアル品を投入し、購買頻度の高い「トップバリュ」商品の値下げと増量企画を実施したことが伸長を後押しした。
前期は、値下げを23年9月と24年1月、増量企画を23年12月と24年2月と、それぞれ2回行った。
吉田昭夫社長は「『トップバリュ』は生活に直結する食品と HBC(ヘルスアンドビューティケア)の領域が牽引した。NB商品の値上げが相次ぎ生活負担が高まる中、ブランドコミュニケーションを強化・継続したことで『トップバリュ』が受け皿となりPBへのシフトが加速した」と語る。
同社は、売場の体感景気や売上実績などを反映させた独自の景気動向分析し、生活に直結した実態経済のタイムリーな把握に努めているという。
この独自分析によると「買上げ点数の減少をはじめ、牛肉から豚肉、鶏肉への代替、NBからPBへのシフトなどがデータで明確に現れており、消費者の節約志向は一層高まっていると捉えている」。
日本は約30年間続いたデフレからインフレ経済へと移行し、生活者のみならず日本企業自体がインフレ経済の経験値が少ない状態にあるとの見方も示す。
「当社は事業や商品を通じて社会的セーフティネットとしての役割を果たすとともに、この環境変化に先んじて構造改革を図ることで、事業競争力を高めるべくグループ挙げてさまざまな取り組みを行っている」と述べる。
今後もPBを強化の構え。
「『トップバリュ』は国内大手メーカー並みの規模へと成長した。リアル・オンラインのチャネルを問わず、持続的な競争力となるPBを引き続き強化していく」と意欲をのぞかせる。
なおPB全体の売上高は、前年比1500億円増の約1.4兆円に達した。