国分グループ本社の23年度(12月期)連結業績は、売上高2兆684億1千700万円(前年比7%増)、経常利益242億300万円(33.6%増)、当期利益158億7千400万円(49.7%増)。3期連続で過去最高益を更新した。國分晃社長は「売上高2兆円、経常利益200億円を超えた新たなステージに入る。今後も食のマーケティングカンパニーの進化と、食の価値創造の実践と循環にまい進する」と決意を示した。
コロナ5類移行後の業務用の伸長や価格改定効果に加え、AIやDXを活用した業務効率化とローコストオペレーションの徹底が増収増益に寄与した。常温と低温の融合、顧客満足度No.1の獲得、共創圏の確立など、25年度を最終年度とする第11次長期経営計画の取り組みも着実に進んでいる。
売上高の内訳は、食品1兆3千525億円(8%増)、酒類6千241億円(4%増)、その他916億円(13.8%増)。食品の部門別売上高は、加工食品8千671億円(7.4%増)、冷凍・チルド4千319億円(9%増)、菓子535億円(9.5%増)。低温の売上構成比は前期で20%を超えた。
2月29日の決算会見で國分勘兵衛会長兼CEOは「物価高騰による生活防衛意識の高まりから価格に敏感になる生活者が増えている半面、高付加価値商品や健康的な食品、環境配慮商品のニーズも根強く、消費は二極化の傾向にある」としたうえで、「食のサプライチェーンを支えるべく、流通に新たな価値の提供に努めてきた。共創圏パートナーとの取り組みは累計188件に広がってきた。お客様の声に向き合い、改善を積み重ね、お取引先の顧客満足度においても目標値を達成することができた」と前期決算を振り返った。
3期連続の最高益更新について、國分社長は「コロナ禍からの回復と値上げの浸透による追い風もあるが、(この3年間で)業務の効率化やローコスト化が進んだ。09年から先行投資を進めてきた低温事業において3温度帯センターの全国配備による卸基盤再構築が完了したことも大きい。しかしながら24年問題はこれから本番を迎える。様々な取り組みを深めていく」と語った。
また、昨年度はCSアンケートの目標KPIである「顧客満足度1位」を達成。「8年前からCSアンケートを基準にPDCAを回し顧客セグメント別のアプローチを強化してきた。この取り組みが成果を挙げ、顧客満足度No.1の目標を達成したが、今後さらに何をしていくかが大事になる」(國分社長)。この考えのもと、24年度のグループ冠方針では「顧客満足度1位を超えて、さらに超える」を掲げた。
取り組みの基本方針は
①食の価値創造の実践と循環
②共創圏パートナーとの価値創造活動の加速、コト売りによる役務収益の増額
③新シンプル業務KPIを基準としたバランスの取れた経営改善
④WITHコロナの働き方の確立
⑤地域共創ビジネスモデルの確立
⑥値上げへの対応
――の6点。
新たな取り組みでは、さらなるデジタル推進を図るべく、「業務DXラボ」を開設。生成AIの利活用を検討し、さらなる生産性向上につなげる。また、地域共創ビジネスモデルの確立に向けて、グループ各社に専門組織を設置し、全社推進体制を加速。第11次長計の残り2年でビジネスモデル確立を目指す。
なお、24年度のグループ経常利益目標は252億円(4.1%増)を計画する。