味の素AGFは、インスタントコーヒーを個包装したスティックブラックカテゴリーで簡便性に加えて味わいが評価されている点に商機を見出す。
スティックブラックは、お湯を注ぐだけで作れる手軽さと、個包装のため1杯ずつ新鮮な味が楽しめる点から支持を集め、近年、二桁増で推移している。
好調要因について、10月12日取材に応じた江村治彦コンシューマービジネス部長は「ブラックコーヒーと受け止められており高い品質が認められている。瓶や袋入りのインスタントコーヒーからのスイッチだけでなく、外食でのカフェ需要やレギュラーコーヒーからの流入が大きな伸長要因となっている」と分析する。
そのほかスティックブラックの特徴的な動きとしては、若年層からの支持が挙げられる。
一般的に、中高年は瓶や袋入りの大容量のインスタントコーヒーを選択する傾向があるが、近年の動きとして、若年層がスティックブラックを“一杯の便利なブラック
コーヒー”の認識で選択する動きが広がりつつあるという。
市場が拡大する中、AGFのスティックブラック商品は市場を上回る伸びをみせている。その牽引役には、「ちょっと贅沢な珈琲店」スペシャル・ブレンド26本入りや、アソートの「ちょっと贅沢な珈琲店 ブラックインボックス」シリーズが挙げられる。
今年2月に新発売した「ちょっと贅沢な珈琲店」スティックブラックのエリアブレンド4品も好スタートを切った。
エリアブレンドは、日本各地の嗜好性に合わせたもので「東北コクゆたかブレンド」「東海ブレンド」「瀬戸内まろやかブレンド」「九州まろやかブレンド」の4品をラインアップ。
「ちょっと贅沢な珈琲店」レギュラー・コーヒーのエリアブレンドと同様に定番プラス1品で採用が広がっているとみられる。
この勢いを加速せるべく9月からは新たに「北陸信越 華やか澄味ブレンド」「北関東 薫る深いコクのブレンド」「関西まろやかブレンド」の3品を発売した。新商品については、「既存品にきちっとオントップするかたちで取り扱いがスタートしている」という。
同社は今後もスティックブラックの市場が伸びるとみており、さらなる成長に注力していく。
「ブラックコーヒーである以上、ラテのようにバラエティー感を出すのは難しいが、付加価値によってカテゴリー内でも各製品の価値を高めていける。スティックブラックは産地以外の切り口も考えられ、まだまだタッチポイントを伸ばす余地がある」と期待を寄せる。
その好例が「『ブレンディ』 スティックブラック 毎日の腸活コーヒー」。スティックブラックのなかでも「腸活」という機能性を切り口にし、3月の発売以来好調となっている。