近畿大学 ウナギの完全養殖に成功 稚魚の安定育成に課題も

近畿大学はこのほど、同大学水産研究所(和歌山県白浜町・升間主計所長)で人口ふ化したウナギ(親魚)から仔魚(しぎょ)が得られ、ウナギの完全養殖に成功したと発表した。ウナギの完全養殖は水産研究・教育機構(以下、水産機構)でも2010年に成功しているが、大学としては初となる。

現在、国内のウナギ消費量の99%以上を養殖に依存しているが、ウナギ養殖に用いる種苗にはすべて天然の稚魚(シラスウナギ)が用いられている。近年、シラスウナギの漁獲量が著しく減少。天然資源に頼らない持続可能なウナギ養殖の実現が課題となってきた。

ふ化した仔魚は、3カ月から半年かけてシラスウナギに育成。食用サイズに成長するには、さらに約1年程度を要する。ウナギの完全養殖では、シラスウナギに育成するまでが困難とされており、水産機構や近畿大学を含め現在開発されている技術ではシラスウナギを低コストで大量生産できる目途は立っていないという。

近畿大学水産研究所では「今後、養殖用種苗として利用可能になるシラスウナギまでの育成を第一目標としてさらに研究を続ける。仔魚用飼料の改良など育成技術の安定化に取り組み、実用化を目指す」としている。