コーヒーギフト市場が縮小傾向にあるなか、味の素AGFは拡大傾向にある個包装スティックタイプに活路を見いだす。
10月10日に開催された冬ギフト説明会で、山本倫子コンシューマービジネス部マーケティング第3グループ長は歳暮期のコーヒー市場について「インスタントの瓶が減少傾向にあるなか、スティックブラックとスティックミックスのスティックカテゴリーはコロナ前の2019年を100とすると120前後で拡大している」と説明した。
スティックギフトカテゴリーには、コーヒー以外のカテゴリーからのユーザーが流入。中でも、スティックブラックはこの傾向が強く、「若年層が若い親に贈るというような新規の方たちがどんどん入ってきている」という。
若年層獲得の要因については「スティックブラックは、インスタントコーヒーの個包装タイプではなく、一杯の便利なブラックコーヒーという意識で若者に飲まれている。自分が良かったから親にも贈りたいというニーズで、お中元・お歳暮のギフト市場でも伸びている」と分析する。
一方、スティックミックスは、洋菓子などのバラエティニーズに対応して支持を集めている。
秋冬の歳暮期に向けては、約7割の圧倒的なシェアを握るスティックギフトに注力。季節感・バラエティー感・プレミアムに重きを置いて品揃えしている。
約7割のシェアのうち2割強を占め歳暮スティックギフトシェア№1の「ブレンディ」スティックウィンターカフェオレコレクションは昨年に引き続き冬の贈り物としてアソート品に「リッチ ミルクカフェオレ」と「ヘーゼルナッツオレ」を詰め合わせている。
「専門店品質の濃厚な味わいが楽しめる」をコンセプトに展開している「ブレンディ カフェラトリー」スティックからは、「スティック プレミアムギフト」をリニューアル発売。
パッケージでは、支持されている「日常のご褒美」や「優雅なひととき」を打ち出した上で「この冬の華やかなハレの気分を感じていただけるワンランク上の贈り物へと刷新した」。
「ちょっと贅沢な珈琲店」ブランドからは、ブラックコーヒーとミルク入りコーヒーを詰め合わせたアソートギフトを新発売して職場や家庭での幅広い嗜好性に対応する。
なおコーヒーギフト市場は、ギフト市場全体と同じく、贈答世帯率の減少が続き低迷。前年歳暮期(22年10-12月)のコーヒーギフト市場は3%減と推定する。
この中で、嗜好の多様化やパーソナルニーズの拡大を受けてスティックタイプのコーヒーギフトが拡大傾向にある。
嗜好飲料ギフト全般については「『相手の嗜好性に寄り添う』という観点がより重視される傾向が強くなっている。相手の好きなものや、家族構成に合わせてバラエティー豊かなものを贈りたいという需要が色濃く出ている」との見方を示す。
AGF調べによると、歳暮ギフト市場は前年同期比2%減の2千978億円、贈答世帯率3ポイント減の46.1%、贈答世帯当たり件数は横ばいの3.6件、贈答世帯当たり予算は1%増の1万5千493円。
「特に物価高によって節約志向が高まり、経済的負担が増加したことを背景に、贈り手・貰い手ともに遠慮の気持ちが色濃く出たのが昨年度の状況」と振り返る。