カゴメは、このほど個人株主を対象とした海外拠点の現地視察ツアーを開催し、大きな成果を得た。
同社は、2000年に企業理念の一つとして「開かれた企業」を掲げ、株主との対話や交流を重視する中で、経営者と直接対話する「社長と語る会」や、国内生産拠点の「工場見学会」などを行ってきた。一方、業績的にも重要性が高まってきた国際事業にも、その機会を広げるため海外拠点現地視察ツアーを計画。初となる今回は、カゴメオーストラリア社(ビクトリア州)の工場見学および人参・にんにく圃場見学を行い、「畑は第一の工場」というモノづくりの理解を求めた。
視察先のカゴメオーストラリア社は、日本向けの野菜飲料の原料となる人参濃縮汁やトマト加工品に使用するトマトペーストなどを生産。また、現地の飲食店やファストフードに向けた業務用事業も展開しており、19~22年で売上収益は130%に成長しているカゴメグループの重要拠点となっている。
今回の視察ツアー(有償)には約100組の応募があり、抽選で12人が参加。オーストラリア工場見学においては現地スタッフとともに、大型濃縮設備や生原料加工の工程などを直接見学し、安心・安全の取り組みや環境対応について説明を聞いた。圃場見学では大規模圃場、機械化された収穫風景見学、収穫体験などを行い、「カゴメ野菜生活100」などに使われる人参やオーストラリア国内に供給しているにんにくの大規模圃場を見学、参加者による収穫体験も行った。
大型機械で収穫された人参を大規模な工場で原料加工する工程、水不足への対応など環境に関する現地での取り組みなどを聞き、現地で製造している製品の試食も実施。海外拠点だからこそ伝えられる価値創造プロセスの一部を体感してもらい、CEOを含む現地従業員との交流を通じて、国際事業の展開についてもより理解を深めた。また、レストランでの現地スタッフとの懇親会では圃場で採れた人参を使用したメニューやジュースを試食、試飲した。
「視察ツアーの目的は、個人株主とのコミュニケーションを密にすることで、中・長期的に株式を保有していただくことだった。今回の視察ツアーを通じて、株主さま自身に目・鼻・口など五感を通して実感していただいたことで、『畑は第一の工場』というモノづくりの理解を深めてもらい、大きな成果があった」と財務経理部IRグループの谷口弘晃主任。視察の中では環境への取り組みや、SDGsへの質問などが多く「水の保全や再利用、CO2削減策、太陽光パネルの活用などを説明して理解を求めた」と言う。また、「『野菜生活100』に使われているニンジンは海外で生産していることや、濃縮還元の意味を知らない人が多いことも改めて判明」。現地で濃縮工程を通すことで品質面が安定し、効率化が保てることを説明した。
見学後、参加者からは、「海外は行ってみないと現地理解が深まらない。他の地域の拠点もぜひ実現してほしい」「現地に行き、実際に見ることでカゴメの取り組みに対する理解がより深まった」「会社と株主との間が縮まり、親近感が増すと思うので、ぜひ継続していって」「帰国後、早速スーパーでカゴメ野菜飲料を箱買いした。その原料の人参の調達の様子に思いを馳せた」「帰国後、圃場で撮影した映像を、すぐに孫に見せた。とても感動していた」「職場の、特にZ世代に対して、自身が応援する企業を深く理解して株式投資する魅力を伝えたいと、今回の体験を通して強く感じた」などのコメントが寄せられた。