白鶴酒造は、「白鶴錦 蔵元の集い 2023」を都内の自社ビルで開き、オリジナル酒米「白鶴錦」を使用する全国各地の蔵元が参加、きき酒の結果報告や意見交換を行った。嘉納健二社長(前列左から3人目)は「同じ酒米で仕込んでも蔵によって味わいが変わってくる。われわれの取り組みが日本酒に興味を持つきっかけになれば」など話した。
「白鶴錦 蔵元の集い」は18年から年に1回実施。コロナ禍の影響でリアル開催は4年ぶり3回目となる。
冒頭、櫻井一雅専務取締役執行役員生産本部長(同2人目)は「白鶴錦で仕込んだ酒はまろやかで穏やかな味わいになりやすい。兄弟米の山田錦とは異なった酒質が得られる。意見交換を通じてより良い酒造りに貢献できれば」などあいさつ。12年、同社に「十四代」の高木酒造を紹介したはせがわ酒店の長谷川浩一社長(同4人目)は「若い蔵元の間で白鶴錦を使いたいとの声は多い。今後、生産量が増えて一段と認知が高まっていくことを期待している」など話した。
現在、白鶴錦を使用する酒蔵は全国に13社。当日は8社が会場で2社がオンラインで参加。昨年度の醸造結果は「白米は平均して例年並み」「麹はさばけよく温度経過は順調で出来上がりも良かった」「醪は気温の影響もあり溶けが悪い」「酒質はアミノ酸が低くすっきり軽快な仕上がり」などの評価が多かった。
23年度の生育状況は田植え後の高温と平年以上の日照により良好。JA兵庫西管内における作付面積は約70ha、出荷計画は約330t(5千500俵)。
なお、白鶴錦を使用する13社は、相原酒造「雨後の月」(広島)、阿部勘酒造「阿部勘」(宮城)、梅錦山川「梅錦」(愛媛)、加越「加賀ノ月」(石川)、亀の井酒造「くどき上手」(山形)、木屋正酒造「而今」(三重)、五町田酒造「東一」(佐賀)、清水清三郎商店「作」(三重)、澄川酒造場「東洋美人」(山口)、高木酒造「十四代」(山形)、新澤醸造店「あたごのまつ」(宮城)、白鶴酒造「白鶴」(兵庫)、桃川「桃川」(青森)。
相原酒造の相原準一郎社長は「白鶴錦のポテンシャルは非常に大きい。将来的に生産量が増えてくれば主力の酒米になり得る」と期待の大きさを語った。
【白鶴錦の概要】白鶴酒造のオリジナル酒米。「山田錦に勝るとも劣らない酒米を生み出す」という志のもと、開発開始から8年を経て03年に誕生し、07年に農林水産省にて品種登録。