越後製菓 過去最高の売上高 パックごはんが牽引 餅も価格改定へ 「背水の陣で」星野会長

越後製菓の23年3月期売上高は前年比5.1%増(197億3千万円)となり過去最高を記録した。このうち米菓が5%増(69億円)、包装餅が前年並み(93億円)、米・米飯30.3%増(27億5千万円)、その他1.4%減(7億3千万円)。

成長を牽引したのはパックごはんだ。

8月24日の発表会に臨んだ吉原忠彦社長は「米飯はここ数年ずっと伸びている。自宅療養ニーズを獲得するなど日常食利用が増加。当社のパックごはんを食べていただいた方から『非常においしい』とご評価をいただきリピートにつながっている」と振り返る。

「越後のごはんコシヒカリ」5個パック(越後製菓) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「越後のごはんコシヒカリ」5個パック(越後製菓)

パックごはん市場について「現在約1千億円市場になりつつあり、近く1千億円を突破する」として、今後も注力する構えを示した。

今期売上高は3.4%増(204億円)を計画する。

米菓は「ふんわり名人」と「新潟の星」の2ブランドに集中し微増の70億円を目指す。

鏡餅はキャンペーンなどで需要を喚起し4.3%増(97億円)、米・米飯は7.3%増(295億円)の計画。

昨年の米菓、今年7月のパックごはんに続き、包装餅・鏡餅も今秋に値上げを行う。

原料のコメ価格は安定しているものの、包装資材やエネルギー、物流費、人件費などが高騰しているため。

「越後の鏡餅」(越後製菓) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「越後の鏡餅」(越後製菓)

星野一郎会長は「値上げが通らないと先がないという背水の陣で臨んでいる」として、価格転嫁へ不退転の姿勢を示した。

鏡餅業界では、流通からの受注を今年は10月31日で締め切ることを決めた。生産計画を立てやすくして食品ロス削減に取り組む。従来は年末ぎりぎりまで注文に応じて生産していたが、人手不足の深刻化からそれが限界に達したことも大きな要因だ。

今年も“ねんドル”こと岡田ひとみさん監修のフィギュア付き鏡餅を展開。来年の干支である「辰」をモチーフにした2品とともに、毎年おなじみの招き猫「にゃあ」も羽織袴姿で登場する。

発表会に登場した岡田さんは「(他の干支に比べて)辰はちょっと難しかったけど、大人と子どもの辰をイメージして作ってみた。ファンの中には、初めてお餅を食べる子もいると思う。日本の伝統文化を子どもたちにも広げられたら」と語っていた。