原材料価格やエネルギー・物流価格などにより輸入チーズが値上がりするなか、大手乳業メーカー担当者は、「国産が主役になる時代がくればいい」と語っている。また、東京デーリー担当者は「原料的に今が最も高いところ。今後少し落ちてくるが、次は物流の問題が絡んでくる。倍まではいかないが、1.5倍までは上がってくるだろう」と今後の輸入チーズの動向を見通す。
要冷蔵と冷蔵不要の商品では運輸方法が異なり、クール便で輸送するチーズは特に物流の影響が大きい。これまでロシア上空を飛んでいた空輸品は、遠回りや減便を余儀なくされた。あらゆる食品が船輸送に集中したため、コンテナ代も高騰している。原料チーズは大半を輸入に頼っていることから「ロシア・ウクライナ情勢が解決してコロナが完全に収束しない限り、価格帯が下がることはない」(同)とみている。
こうした状況下、国産チーズに力を入れる明治の担当者は「輸入チーズに比べると国産チーズの上げ幅は緩やか。価格の優位性を前面には出せないが、ものすごい勢いで上げ下げすることなく安定的に購入してもらえる点も国産の利点」と語る。
同社の足元の状況は、調理用チーズが堅調だ。一度に使う量が多いことや、日々の食事に使うため需要はなかなか落ちないことが要因と分析する。4月に国産ナチュラルチーズを含め家庭用チーズを価格改定したが、国産シュレッドは輸入シュレッドに比べて1割程度と値上げ幅が低かったことや、しっかりした味わいなどが総合的に支持されていることも要因とみている。
一方で「いくら上げ幅が低いとはいえ、400~500円の商品が1割上がれば、価格に敏感な人は買い控えたり、競合品を買う」(担当者)と語る。
最近では量で買う人と質で購入する人で二極化していることから、「量で競合に勝つのはなかなか難しい。やはり質の部分で勝負する」と語っている。