ニチレイフーズ 福岡で米飯新工場が稼働 環境配慮型の最新設備

ニチレイフーズは、グループ会社であるキューレイ(福岡県宗像市)に冷凍米飯の新工場を建設し、4月から稼働させている。投資額は約115億円。家庭用の主力品「本格炒め炒飯」は新たに船橋工場と東西2拠点体制となり、業務用は鉄鍋を使った「直火炒めチャーハン」のさらなる品質向上を図った。最先端の技術を導入し、省人化・CO2削減・脱フロン・廃棄物削減なども推進。このほど報道関係者向けに内覧会を開き、竹永雅彦社長は「新たなおいしさの追求はもちろんのこと、環境配慮型の最新鋭工場として持続可能なサプライチェーンの構築に寄与していく」などと語った。

竹永雅彦社長(ニチレイフーズ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
竹永雅彦社長(ニチレイフーズ)

新ライン、CO2発生を90%抑制

新工場はキューレイの第3工場となり、冷凍米飯2ラインを設置。従来比で大幅な省人化と増産を両立させている。第2工場にあった業務用の米飯ラインをリニューアルして移管し、「本格炒め炒飯」など最新の炒め工程を伴う家庭用の米飯も新たに生産する。後者は船橋工場とあわせて生産能力が約150%にアップした。

なお、第1工場は「今川焼」などの甘味スナックや卵製品を製造。今回の設備増強により、キューレイ全体の生産能力は同社グループで船橋工場、関西工場に次ぐ3番目の生産規模となった。

大型投資の背景には、冷凍米飯に対する旺盛な需要がある。同社によると米飯トータルの市場規模は約1兆4千600億円と巨大だが、うち冷凍は家庭用と業務用を合わせて約1千510億円とシェア1割にとどまり、今後は手作り機会の減少や人手不足を背景に大きな成長が見込まれるという。

AI活用で焦げを除去 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
AI活用で焦げを除去

新工場は環境負荷の低減を推進。脱炭素・脱フロンの観点から自然冷媒冷凍機を導入し、太陽光発電やCO2フリー電気を採用している。直火加熱とIH加熱をハイブリッドする独自製法では、旧工場に比べCO2排出量を約90%抑制した。さらに、各工程でエネルギー効率向上を図ったこともポイントとしている。

一方、生産ラインには最先端の設備やシステムを全面的に導入。その稼働状況は新規採用した「コックピット」で行う。多数のカメラやセンサーを配置し、モニターでリアルタイムに管理できる。「現場の見える化」「生産性指標の見える化」「環境データの見える化」を具現化した。またAIとロボティクスを連動させ、炒め工程で発生する“焦げ”の排除を自動化。従来比で除去に伴う廃棄量の50%削減を目指す。

また今秋は新ラインの強みを生かした商品施策も展開。家庭用は九州ならではの国産素材にこだわった「高菜炒飯」、業務用は従来比1・3倍の自家製焼豚を採用した「焼豚ごろっとチャーハン」を投入する。なお「本格炒め炒飯」の供給エリアはキューレイが関西以西、船橋工場が中部以北。

楽しく学べるコンテンツ満載

タッチパネルと映像で製造工程を紹介(キューレイ第3工場) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
タッチパネルと映像で製造工程を紹介

工場内には専用の見学通路を設けた。約70mに及ぶ壁面には様々なコンテンツを用意。「本格炒め炒飯」(2001年発売)の歴史を毎年1枚ずつのパネルで知れるほか、子どもも楽しめるフォトスポットや製造工程の詳細が分かるタッチパネルと映像を組み合わせたアトラクションも見どころだ。

壁面と反対側の窓越しに「凍結」「包装」「検査」「製函」「箱詰」「パレタイズ」などの各工程の見学が可能。

訪問時は「バーチャルシアター体験」も見逃せない。「『本格炒め炒飯』の製造工程を楽しみながらお伝えしたい」(同社)との想いから、専用ルームの壁面をダイナミックに使った迫力ある映像を展開。まるで自分が原料米になった気分でパッケージ製品が完成するまでのストーリーを体感できる。