食品表示法・食品表示基準の一部が23年3月9日付で改正され、くるみが食物アレルギー特定原材料の8品めに加わった。同日から25年3月31日までの経過措置を経て、25年4月1日から表示が義務となる。これを受け日本ハムは、くるみを検査するキットを同社中央研究所が開発し、3月下旬から販売すると発表した。
食物アレルギーは以前、表示義務がある特定原材料はえび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目で、くるみは表示が任意の特定原材料に準ずるものであった。
しかし近年、くるみを原因とするアレルギー症例が大幅に増加しており、消費者庁の「食物アレルギーの実態」(令和3年度即時型症例の原因食物の内訳)では、鶏卵33%、牛乳19%、小麦9%に次いで、くるみは8%と4番目に高い割合となるなど、表示基準改正に向けて動いていた。
今後、加工食品にくるみが含まれる場合、表示が義務付けられ、くるみは多種多様な食品に使用されているため、製造工程で予期せぬ混入を防ぐ管理も重要となる。
消費者庁は3月9日付で、各地方の行政や保健所などにあて「これまでくるみを表示していなかった食品関連事業者に速やかな表示や周知」の依頼文書を送付している。同文書ではカシューナッツに関しても「木の実類でくるみに次いで症例数の増加が認められる」として「可能な限りの表示の周知」を促した。
日本ハムの中央研究所は、加工食品中に含まれる「くるみタンパク質」を「迅速かつ高感度に検出できる」(同社)検査キット2種「スクリーニング検査キット」「簡易迅速検査キット」を開発した。いずれのキットも複数の抗体を採用しており、「複数の抗原を検出することで見逃しの少ない性能を実現する」(同社)としている。
同社は、「東京栄養サミット2021」で発表したコミットメントの一つに「新たに表示が義務化される項目の検査キット発売」を掲げており、「今後もラインアップの拡充に努めていく」としている。