時代の「空気」

人気の芸人トリオ・東京03は、メンバーがキャラ立ちしているし芝居も上手なので安心して彼らの笑いの世界を楽しめる。場の空気を読めない道化役を一人ないし二人配して、笑いに昇華するコントは秀逸だ。空気を読めないはKYという略語で日常的に用いられるが、空気とは一体何だろうか。

▼昔々の高校時代に筒井康隆さんの講演を聴いた。「良識と常識は全く異なる。常識は良識にあらず。常に疑わしいものだと考えよ」という若者へのメッセージが印象深かった。

▼以降、常識は時代の空気のようなものと心得るようになった。社会に漂う世相も空気のような存在だ。パンデミック発生以降は、世相がそのまま常識となることが多くなった。

▼国は、バター不足で生産農家に補助金を出したと思ったら、今度は乳牛の処分に助成金を出すのだそうだ。典型的なマッチポンプに映ってしまうが、これはカーボンニュートラルをはじめ様々な空気、どんな空気を読んだせいなのだろうか。国民の命を預かる食品業界は、良識と常識を見極めながら進んでいかなくてはならない。