コロナ禍3年目となった東京地区歳暮商戦は、多くの百貨店が前年割れで着地した。ECは引き続き堅調な動きを見せた一方、行動制限解除でどこまで回復するかが注目された店頭は、各社前年割れとなった。政府が新たな国内観光喚起策や水際対策の大幅な緩和を打ち出した結果、百貨店の客足は昨年から増加。隣接する催し物などからギフトセンターへ人流も一部みられたが、コロナ禍で急伸長したEC利用がある程度定着したとみられる。
そごう・西武は、スマートフォンでの操作性を向上するなど強化したECが堅調に推移。年末年始の“集い”を想定した「みんなの冬グルメ」や、天然とらふくなどの高級素材を使った鍋を提案した巻頭ページは中元に続き、歳暮でも2倍に伸長した。
日本橋三越本店と伊勢丹新宿店は、ともにEC微増。初日に長蛇の列をみせた店頭は微減だった。バイヤーが厳選したワインやシャインマスカットなどの高価格帯商品やクリスマス商品が好調に推移した。
昨年以上の店頭回帰を見込み一部店舗の会期や承り席を拡張した京王百貨店では、20年に急伸長し昨年はそれをやや下回ったECが3%増と復調。手土産品は二ケタ伸長した昨年からさらに二ケタ伸びるなど、カジュアルギフトの需要が多く見受けられた。
日本百貨店協会によると、22年11月の百貨店東京地区は、売上高7.8%増、12月は8%増で、活況の高額品消費や水際緩和によるインバウンド消費が寄与した。帰省・御年賀用の手土産や歳暮、自家需要などニーズ拡大を受けた和洋菓子が好調に推移し、行動制限の解除により手土産需要としての利用シーンが復調。12月はオードブルなど複数人で楽しめる惣菜も人気だった。