ニコニコのりの白羽清正社長が、1月30日に行われた春の新製品発表会の席上、現在の海苔生産状況について次のように語った。
「養殖始まって以来の危機」 値が値を呼ぶ狂乱相場
有明海は今、海苔養殖始まって以来の危機的状況になっている。主産県である福岡、佐賀、熊本各県の10月以降の降雨量が例年の3~4割となっていることが大きな要因。雨が山の栄養分を海に運ぶが、まったく補給されない状況が11月から続いている。
そこに植物性プランクトンのユーカンピアによる赤潮の発生がさらに状況を悪化させた。2月の終わりから3月にかけて発生するのが一般的だが今年は早く、ただでさえ雨不足で少なくなっている栄養分がユーカンピアに食べ尽くされている。
加えて、暖冬により海水温が高い。低ければ生育は遅くなるが、高品質な海苔が採れる。この3つの原因により海苔が採れず、採れても品質が極端に悪いという状況に陥っている。
漁場で本来なら黒々と生育している海苔が赤褐色になり、これを板海苔に加工した冷凍網の一番摘みが色落ちした青い海苔になっている。海苔は色目で格付けされる。普段なら焼却処分される海苔でも今年はそこそこの値が付いている。こうした青い海苔が今年は市場に出回り店頭に並ぶことになるだろう。
1月26日現在で、全国の共販枚数は14億枚。通常なら25億枚は採れているため4割減だ。有明海は6割減。全国生産量の半分以上が有明産で、大主産地が不作だと全体に大きく影響する。単価は昨年と同じグレードの海苔が倍の値段。しかもその価格で入札しても買えるか買えないかの状況だ。例年スーパーに並ぶ品質の海苔はほとんど採れていない。
1月27日に宮城、兵庫、三重で入札が行われた。昨年の平均単価は14円弱だったが、宮城の平均単価は24円台、兵庫25円台、三重26円台で、28日の愛知は28円台と尻上がりに過熱し、とにかく玉を確保しようと値が値を呼ぶ狂乱相場の様相を呈している。
このままの推移なら、生産量は昭和43年以来の40億枚台となる可能性が高い。この5年間ほど日本では60億枚台前半の収量が続いており、国産原料だけでは国内の消費量を賄うことは難しい。そのため、今年は韓国産も激しい争奪戦となるだろう。
値上げは不可避の状態だが、消費減につながらないよう上げ幅はできる限り抑えたい。2月中には発表できると思っている。