味の素社が支援する「LOW SALT CLUB~うま味DE減塩部」(LSC)は10月29日、30日の両日、神奈川県相模原市の麻布大学の学園祭において、学生団体が主催する飲食模擬店5店舗とコラボレーションし、うま味を生かした「おいしい減塩」メニューをサポートした。
LSCは、食塩の過剰摂取という社会課題解決の一環として今年、「うま味調味料の日」でもある7月25日に料理家9人とともにZ世代にも受け入れられる新しい「うま味による減塩のおいしさ」を実現するプロジェクトを立ち上げ、おいしい減塩に関するレシピ開発や情報発信を展開。SNSで投稿するレシピが人気の「ジョーさん。」部長をはじめ、ブロガーやインフルエンサー、管理栄養士、時短料理研究家など「減塩の輪」でつながった料理家が集まった。
今回は学園祭実行委員会の協力のもとで、料理家が学生のレシピにアドバイスしながらメニューを開発。麻布大学の臨床診断研究室が減塩チヂミ、硬式庭球部は減塩カルボナーラうどん、吹奏楽部は減塩やきそば、準硬式野球部は減塩豚汁などを模擬店で出店。うま味を効かせてグレードアップしたレモネードなどユニークなドリンクも販売した。
「減塩は、将来の健康寿命の延伸につながるものの、若い人には先々の問題と思われがちだ。そこで学園祭というお話をいただき、Z世代の大学生とのコラボが実現した。学生たちにとって人気のインフルエンサーがレシピ開発に携わったとなればメニューの魅力が増し、体験しながら減塩の仕方も学べる。減塩が浸透していない料理家にも、改めて減塩やうま味調味料の価値を知ってもらえる。両者が一つのメニューを作りあえば互いに学びにつながる」と味の素社サイエンスグループの門田浩子氏。それぞれの模擬店には長蛇の列が連なり、減塩メニューは飛ぶように売れた。
メニュー開発のハードルが高く、完成までには約1か月かかった。互いに時間の制約がありコミュニケーションの調整が難しい中で、料理家と学生がオンラインでミーティングを重ねながら苦労してレシピを完成。開催前日まで話し合いが続いたと言う。
臨床診断研究室の学生は、「チヂミには食塩は一切使わず、食塩の代わりに味の素を使い、ポン酢につけて食べられるよう工夫した」とオリジナルメニューを披露。うどんでつくったカルボナーラも、「食塩の代わりに味の素を入れたことでうま味が増し、足りない塩気は粉チーズや胡椒で補った」と硬式庭球部の学生。1皿300円の減塩カルボナーラうどんは、調理が間に合わないほど次々と売れた。「塩は人が考えだした調味料だが、昆布にもナトリウムが含まれ、食塩に換算するとそれなりに塩を摂ることになり、ほかの食材でも賄える。塩を加えなくてもうま味調味料やベーコン、チーズでも補える」など減塩の方法をアドバイスした。
また、学園祭中央には味の素社もコーナーを開設して減塩の重要性を啓発し、アンケートの回答者にはミニサイズのアジパンダを配布した。
LSCは、毎月1回のオンラインミーティングや勉強会、SNSを通じた減塩レシピの発信などを行っている。「今後は、社会課題解決の意識が高いZ世代への活動を入り口とし、米国の管理栄養士やインフルエンサーを招いた意見交換会なども計画しており、減塩の波を日本とともに世界にも発信したい」と壮大な構想を抱いている。