「人々のウェルビーイングを追求」 ニップンが新経営理念

ニップンは7月26日、都内で業界専門紙記者懇親会を開催。前鶴俊哉社長、堀内俊文副社長、大内淳雄専務ら経営幹部が出席し、新経営理念、新経営方針、長期ビジョンおよび各事業について説明した。

同社は5月にグループの経営理念、経営方針を新たに策定。新経営理念「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献する」、新経営方針「経営理念を実現するためにお客様、社員、株主、地域社会をはじめとするステークホルダーとともに、未来につながる価値の創出」を掲げている。

前鶴社長は「食を通じて幸せになり、健康であり続けていただきたい。さらに楽しさ、うれしさを感じ取っていただき、グループ全体で社会へ貢献していく」と説明。長期目標(売上高5千億円、営業利益250億円)のマイルストーンとして「5年後には売上高4千億円、営業利益150億円の目標を達成したい。必要な投資をしながら着実に成長していく」と抱負を述べた。

またESG経営については、廃棄ロスに配慮した冷凍食品や脱プラの取り組み、豆腐由来のプラントベースフードの開発を進めており、4月にサステナビリティ推進部を設置し、環境の取り組み、社会貢献、コーポレートガバナンスをさらに推進する構えだ。

製粉事業は、コロナ環境によるインバウンド需要の喪失、外食産業への影響による需要減について「企業の垣根を越えて取り組まないといけない」(堀内副社長)と説明した。

生産性、省エネ、SDGsにも配慮した最新式の生産拠点となる知多新工場は2026年2月から稼働開始予定だが「新工場稼働後の臨海工場比率は95%となる。培った技術を生かしながら、お客様が望む商品、サービスをクイックに提供していく」と抱負を述べ、「当社は食のエッセンシャルワーカーであり、国内最初のデュラム小麦「セトデュール」を農研機構と開発するなど業界のパイオニアでもある。常に高品質な小麦粉を安定供給し続けることが第一の使命と考えている」と強調した。

食品部門は、売上高約16%増(1千859億円)、経常利益4・8%減(46億6千800万円)と増収減益となった前期の部門着地を説明すると同時に、今期の課題として「原材料およびエネルギーコストの上昇をどう転嫁するか」(大内専務)と述べた。

冷凍食品については、業務用はコロナ以前の数字までは回復していないものの二ケタ伸長だった。家庭用は調理済みパスタが堅調なほか、個食米飯が前年比2倍、ワンプレート商品50%増と大幅な伸長でけん引した模様。環境対応ではオーマイプレミアムシリーズなどの製品で紙製トレー(森林認証紙)に切り替えたほか、「よくばりプレート」「よくばり御膳」で無漂白の木材パルプで作られたeco紙トレーを使用して市場および消費者の評価を集めた。

「単身者および新規ユーザーとして男性層に支持が広がった」(同)と分析しており、引き続き経営理念に沿った商品開発、商品提案を強化する。