食物アレルギー 社会的な認識向上へ学校現場で啓蒙進む

食物アレルギーに対する社会的な認識が高まっている。関連商品を導入したり、出店・改装の際にコーナー化したりする小売業も徐々に増えてきた。SDGsを意識した売場対応の一環で、回転率や売場効率を重視する一般の商品とは一線を画したものと言える。さらに、自然災害が多い昨今はローリングストックの考えとともに、食品を備蓄しようという考えが定着してきた。学校や行政では、最初からアレルゲンフリーの食品を備えるケースが多い。非常時には誰もが同じように、かつ迅速に食事できる状況が求められるためだ。また、グルテンフリーに対するニーズの高まりとともに、小麦粉ではなく米粉を使った製品も広がりをみせている。

こうした中、食物アレルギーに配慮した商品を持つ食品メーカーによる「プロジェクトA」(オタフクソース、ケンミン食品、永谷園、日本ハム、ハウス食品)は、学校現場へ向けた啓蒙活動に力を入れている。罹患者の多くが子どもであるにもかかわらず、これまで学校で食物アレルギーについて学ぶ機会は多くはなかった。

同プロジェクトでは昨年、食物アレルギーに関する副読本を作成し、全国16都道府県の小学校へ8万部を配布。本の発刊に伴い、それを活用したオンライン授業も行い「メーカーによる授業ならではの、気づきや学びを得てもらう機会になった」と手応えを得た。それは例えば「食物アレルギーに配慮した商品があることに驚いた」といった児童の声である。

食物アレルギーへの意識が高まったとはいえ、関連する商品を必要とする人がどこでも手に入れられる環境が全国的に整っているわけではない。SDGsやローリングストックといった世間の流れに加え、学校現場において当事者以外の周りの子どもたちの関心と理解を深めることは、社会全体の認識を向上させる後押しになる。そして、商品の認知度を高め、購買環境の変化にもつながると期待される。