キッコーマングループは、豆乳の最需要期である夏本番に向けてマーケティング活動を本格化し広がりをみせる若年層の取り込みを加速させる。
1日、東京・渋谷でキッコーマン豆乳を冷凍した豆乳アイスやソイラテ・ソイティなどを無料配布する一大イベントが7日までの期間限定で開始された。
1日取材に応じたキッコーマンソイフーズの藤村公苗社長は、豆乳市場について「ここ10年間で約倍増し、若い方を含めた新しい方が日常的に豆乳に接するようになったのが拡大の要因」との見方を示す。
若年層の増加傾向は、東京・表参道でイベントを開催した19年頃から顕著になり「20-30代を中心にSNSのフォロワー数は当社の醤油などの製品と比べて圧倒的に多く、反応も大きいことから積極的に活用していきたい」と意欲をのぞかせる。
その好例が豆乳アイスの提案で、これは消費者の提案・発信から着想を得たものでイベントやデジタルコミュニケーションを駆使して積極的にアピールしている。
昨年は、夏場に向けて“豆乳アイス”“ソイカフェ”“豆乳プリン”の3つの中から“推しNo.1”を選ぶ「夏の豆乳頂上決戦」と題したキャンペーンを展開したところ40万件超えの過去最高の応募総数を記録した。
これについては「長い期間実施する東京ディズニーリゾートのパークチケットが当たるキャンペーンと近しく非常にインパクトが大きかった。原材料が高騰している今、価格訴求よりも、このようなコト訴求など新しい提案を通じて豆乳を知っていただくことが重要」とみている。
昨年の好評を受け、今年は「夏の豆乳王決定戦」と銘打ち、昨年と同様に“推し豆乳アレンジ”を選んで応募するプレゼントキャンペーンを1日に開始。7月31日の応募締切まで話題を喚起していく。
1日には、水野美紀さん出演の豆乳アイスを訴求するキッコーマン豆乳の新TVCMも全国スポットで放映開始した。
一大イベントは「キッコーマン 豆乳アイス STAND2022」と題し、東京の渋谷ストリーム稲荷橋広場での開催に加えて、4日・5日の2日間限定で大阪のヨドバシ梅田でも開催される。
両会場では、豆乳飲料10種類を豆乳アイスとして、「調製豆乳」「おいしい無調整豆乳」「低糖質 調製豆乳」をソイラテ・ソイティとしてサンプリング。
イベントのSNS投稿やアンケートへの回答を通じたオリジナルノベルティのプレゼントも先着で実施し「SNSで多くの方からコメントをいただくのを楽しみにしている」と期待を寄せる。
豆乳飲料の中で現在最も勢いづいているのは3月に新発売した「ピスタチオ」。夏場に向けては5月に期間限定で発売開始した「塩レモン」と「チョコミント」も好スタートを切ったという。
トライアルとしては、豆乳飲料だけではなく調製・無調整の“白もの”も増加傾向にある。
キッコーマンソイフーズの荻生康成マーケティング本部企画開発部長はトライアル全般について「以前は40代女性が中心のマーケットだったが、最近は20代以下の男女からのトライアルが相当増えている。SNSでは男性からたくさん投稿いただき、今回のイベントなどを通じてトライアルは相当増えていると実感している」と述べる。
豆乳事業の今期(3月期)滑り出しは、2月16日納品分から実施した価格改定の対応に追われた。
「どちらかというとご販売店様にご納得いただく活動に追われ、そういう意味でもマーケティング活動は6月からがメイン」と捉えている。
日本豆乳協会によると、豆乳生産量は、健康志向の高まりを受けて09年から20年まで12年連続で前年を上回ったもの、21年は前年比1.5%減の42万3969klとなり記録更新には至らなかった。
「市場は20年上期から夏場にかけて巣ごもり需要の高まりで物凄く伸び、以降、巣ごもり需要が落ち着き、店頭やチラシが減り21年は1月から8月までは裏年の影響を受けた」と藤村社長は総括する。
21年市場が前年を割り込む中、キッコーマンの豆乳事業は前期、「おいしい無調整豆乳」が牽引してプラスで着地した。「1Lサイズは調製豆乳と無調整豆乳がだいぶ拮抗するようになった」(藤村社長)という。
豆乳を含めた植物性ミルクについては、アーモンドミルクに着目。
「アーモンドミルクは豆乳の1割の規模に拡大している。当社も豆乳飲料の『アーモンド』に近しい需要があり、豆乳とアーモンドの両方が楽しめるとのお声をいただいている。豆乳と食い合っている部分はあると思うが、植物性ミルクの扱いが多くなり市場拡大することを望んでいる」(同)との考えを明らかにする。