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日本茶、GI登録へ 日本茶業中央会が申請 背景に海外での宇治抹茶の商取引を阻む中国産「宇治抹茶」模倣品など

 日本茶が国の地理的表示(GI)に登録される見通しであることが明らかにされた。

 日本茶では既に地域産品として「八女伝統本玉露」と「深蒸し菊川茶」がGI登録されている一方で、農林水産省所管制度に基づくナショナルGI(国全体を生産地とするGI)は現時点では存在しない。

 日本茶業中央会が昨年10月に日本茶のGI(ナショナルGI)登録を農林水産省に申請し、登録されればナショナルGIとしては国税庁所管制度に基づく日本酒に次ぐ2例目となる。

 GI保護制度は、長年育まれてきた品種や社会的評価などの特性を有する産品の名称を地域の知的財産として保護するもの。

 日本茶の登録申請の背景には、海外で茶製品の流通量が増加する中、中国産の「宇治抹茶」模倣品などによる冒認出願(抜け駆け登録)の顕在化がある。

 冒認出願とは、日本において既に出願または登録済みの商標が、海外において第三者により無断で商標権を出願または権利化されることを意味する。

 例えば中国産の「宇治抹茶」模倣品の冒認出願が認められると、宇治抹茶の海外での商取引が阻まれることになる。

 現在、農林水産省で日本茶の登録申請に関するパブリックコメント(意見書)を6月11日まで受け付けている。
 登録の可否を含め登録時期は未定とされるが、学識経験者で構成される委員会で異論が出なければ早くて6月下旬に登録される可能性がある。

農林水産省大臣官房生産振興審議官の佐藤紳氏(右)、JFOODO日本食品海外プロモーションセンターの中山勇センター長(左)、日本茶業中央会の鈴木貞美専務理事(中央)
農林水産省大臣官房生産振興審議官の佐藤紳氏(右)、JFOODO日本食品海外プロモーションセンターの中山勇センター長(左)、日本茶業中央会の鈴木貞美専務理事(中央)

 農林水産省で生産振興を担う大臣官房生産振興審議官の佐藤紳氏は5月11日、発表会に臨み「海外産とのお茶との差別化を図り、高品質な日本茶のブランド価値を向上させることは極めて重要な取り組みであると認識している。日本茶のナショナルブランドの確立に期待するところ大」と語る。

 財務省貿易統計によると2025年の日本茶(緑茶)輸出額は前年から倍増の721億円に達し過去最高額となった。
 この牽引役となった抹茶を含む粉末茶のブランディングにも期待を寄せる。

 「海外で特に中国産の抹茶が価格優位であるがゆえに、日本の抹茶の地位を脅かすまでにはなっていないが、そのような感じにはなっている。(日本茶のGI登録で)中国産の抹茶と明確に区別がつくことになり、生産振興部局としてもとても期待している」と述べる。

 海外で抹茶ブームをテコに日本茶全体の盛り上げを見込むのは、JFOODO日本食品海外プロモーションセンターの中山勇センター長。

 「抹茶をまず突破口にして消費を拡大していくことが重要。その中で、海外の消費者に日本茶についてもコミュニケーションをしていく。国内においても非常に期待している。インバウンドが日本で本物を知り、海外でそれを欲しいと思っていただきアンバサダーになっていただくことも輸出にとって重要なポイント」との考えを明らかにする。

 GIマーク貼布対象の日本茶は、煎茶・深蒸し煎茶・かぶせ茶・玉露・碾茶(抹茶)・玉緑茶・ほうじ茶・番茶・粉末茶などの不発酵茶で、国産茶葉のみを国内で加工・袋詰めまで完了したものとなる。
 半発酵茶の烏龍茶や発酵茶の紅茶は含まれない。

 日本茶使用の製品とは、不発酵茶のみを使用して加工などを行った茶系飲料やインスタントティーなどを指す。

 登録された場合、GI保護制度では日本茶が一定割合含まれていれば海外産のブレンドも認められる見通しだが、日本茶業中央会では自主基準を設け日本茶100%のみを日本茶として海外に広めていく方針を掲げ、全茶連や全生連などの会員やその傘下会員である構成員が生産した日本茶のみに日本茶の表示やGIマークの使用を認めていく。

 日本茶業中央会の鈴木貞美専務理事は、日本茶全体の知的財産の保護とさらなる輸出拡大に加えて、国内での日本茶の価値浸透を見込む。

 「GIマークを付けることで日本茶がしっかり国産のものであることを訴求できる。ただし、GIマークが貼布されれば万々歳というわけにはいかず、日本茶の普及に向けたセミナーや普及活動の取り組みが必要だと考えている」と語る。

 日本の消費者が日本茶と海外産の不発酵茶葉を見分けられるように原料原産地表記を徹底していく考えも示す。

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