ビール類酒税の完全統一が10月に控える今年、サントリーでは主要4ブランドのマーケティングを強化。新たな競争環境を見据え、消費変化を捉えた提案で市場をリードする構えだ。
「お客様ニーズに寄り添い、新たな挑戦を通して酒類市場全体の成長を目指す」。1月13日の事業方針説明会で西田英一郎社長が宣言した。
「なかでもポイントはビール類。私自身、会社人生の多くをビール事業に捧げてきたので、非常に強い思い入れがある。酒税改正という大きな節目で、ビールカテゴリーを飛躍的に成長させることが私の使命だ」。常識や前例にとらわれない大胆な施策で取り組む姿勢を強調する。
これを象徴するのが、苦戦するエコノミービール市場で昨年も前年比99%(数量ベース)と健闘を果たした「金麦」の“ビール化”だ。麦芽配合比率のアップで、酒税法上の区分を現行の「発泡酒②」から「ビール」へと格上げ。現行3品について、10月以降のリニューアル発売を計画する。
「新ジャンル」「第三のビール」などと呼ばれ、低価格を武器に需要をつかんできたエコノミービール類。20年以降は酒税率の引き上げにより割安感の低下が進んだことで市場は縮小が続く。これを「ビール」の土俵に引き上げることで再び価格メリットを際立たせる狙いだ。
昨年9月の発表時には、その意表を突いた手法とともに、発売の1年以上前というタイミングも業界を驚かせた。
多田寅(すすむ)常務は「ビール類のなかでもエコノミー需要は酒税改正後も残るとみられるが、(現在の)ビールだけでカバーすることには無理があり、しっかり支えるブランドが必要。エコノミーの需要創造にチャレンジする」と語る。
一方、高価格帯の「ザ・プレミアム・モルツ」は、昨年93%と苦戦。ただ、チャンスも増えているとみる。同社の調べでは、ビール350㎖缶を飲みきるのにかかる時間はコロナ前の19年には平均15分だったのに対し、24年には30分と倍増した。
「深いコク、華やかな香り、心地よい余韻が特長のプレモルは、長い時間をかけて飲む今の時代にふさわしいビール」(多田氏)とみて、より深いコクと心地よい余韻が楽しめるよう中味とパッケージを刷新。昨年末から順次発売している。
さらに発売から3年を迎える「サントリー生ビール」は、今の時代が求めるのどごしを追求してリニューアル発売。料飲店での取り扱い増加やJリーグとのパートナーシップ締結も追い風に、マーケティングを強化している。
糖質ゼロと力強い飲みごたえを両立した「パーフェクトサントリービール」も、健康意識が高まる時期の集中的なコミュニケーションやキャンペーン展開を通じ、一層のファン拡大を図る。
各ブランドとも中味の大幅リニューアルを含む大型施策を投入。昨年は98%程度(金額ベース)で着地したとみられるビール類市場の活性化へ反転攻勢をかける。
