コカ・コーラシステムは、「綾鷹」などの原料茶葉の持続可能な農業を促進していく。
コカ・コーラシステムがサポートするスタートアップ企業・TOWING(トーイング)社(愛知県名古屋市)が高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発。
これを佐々木製茶(静岡県掛川市)が採用し、2023年に散布テストを開始した。
佐々木製茶は、コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)を含む飲料メーカー向けの原料茶葉を生産している。

「宙炭」で期待できるメリットについて、11月25日、メディア向け説明会でTOWING社の簗田勉事業開発部執行役CSOは、短期での土地改良、炭素固定の促進(大気中のCO2の低減)、資源循環の3つを挙げる。
このうち、短期での土地改良については「通常3~5年かかると言われる土づくり(有機質土壌への転換)が『宙炭』を入れることによって最短1カ月でできる。佐々木製茶さまに使っていただくことで、収量や品質にどのようなプラスの効果があるのかを現在、検証している」と説明する。
資源循環は、コカ・コーラシステムとともに進めていくことを想定する。
「CCBJIさまが茶系飲料を製造する際、茶殻が出される。その茶殻を産業廃棄物処理すると環境負荷が高く費用も嵩んでしまう。茶殻を『宙炭』にしていき、『宙炭』を茶園に散布することで持続可能な農業にしていく」との青写真を描く。
「宙炭」は、未利用バイオマス由来のバイオ炭に1000種類の土壌微生物を共培養させたもの。
「有機肥料は作物に吸収されにくい。アンモニア態窒素と硝酸態窒素によって、そのままでは吸収されにくい窒素が作物に吸収されることで有機肥料を使ったとしても作物がよく育つという仕組みになっている」と語る。

茶業界が後継者不足や肥料代など生産コストの上昇などの課題に直面する中、佐々木製茶は、持続可能な農業における大切な要素の1つとして土づくりに着目した。
佐々木製茶の髙橋一也生産管理部執行役生産管理マネジャーは「土づくりを見直すことで収穫量の増加や肥料コストの低減を実現できないかと模索しているときに『宙炭』を知り、23年に散布テストを開始し、25年2月には改植前の土壌への散布テストもスタートした」と振り返る。
一般的にチャノキに与える肥料の効果は3年程度を要するとされる。
「『宙炭』を導入して今年でまだ2年目。3年目以降に、収穫量が増えたり肥料コストが下がったりするといったことをみていきたい。TOWINGさまの技術は他の農作物では病害虫の耐性にも効果があると聞いており、チャノキにも同様の効果が見られれば減農薬にもつながる」と期待を寄せる。

コカ・コーラシステムでは、「宙炭」を使った実証実験は、水資源・気候変動と並ぶサステナビリティ重点分野と位置付ける持続可能な農業の取り組みの一環となる。
日本コカ・コーラの田中美代子広報・渉外&サステナビリティ推進本部副社長は「持続可能な農業の取り組みについては、日本では、茶葉に非常に力を入れている。グローバルでは12の優先原材料を定めているが、日本は『綾鷹』を生み出したことから日本の茶葉の使用量は世界でも相当数あり、その分、日本が茶葉の安定的な供給と農業に負う責任は大きい」との見方を示す。
コカ・コーラが定める優先原材料はアーモンド・砂糖(サトウキビ)・砂糖(テンサイ)・コーン・リンゴ・コーヒー・レモン・オレンジ・茶葉・パルプ&紙・大豆・マンゴーの12種類。
TOWING(トーイング)社には、ザ コカ・コーラ カンパニー(TCCC)がスタートアップ支援プログラム「100+ Accelerator」を通じて資金提供している。
