1976年に誕生した亀田製菓のロングセラー米菓「ハッピーターン」。
当時、主流となる堅焼きで醤油や塩味の米菓とは一線を画し、洋風の甘いお菓子のような味のおせんべいをコンセプトに開発された。
開発の背景について、12月8日、取材に応じた歴舎(れきしゃ)直輝マーケティング戦略部米菓スナック第2グループマネージャーは「開発当時の日本は、第1次オイルショックの影響で不景気で暗い時代。当時の開発者たちが『幸せ(ハッピー)がお客様に戻って来る(ターン)』ようにとの願いを込めて開発したと聞いている」と説明する。

洋風なイメージを出すため、従来の米菓では全くなかった「ハッピーパウダー」と称するパウダーで味付けした。その味付けは「形容しがたい、甘いようなしょっぱいような、食べだしたら止まらないおいしさ」という。
粉を使用したことで包装形態でも異彩を放った。
開発者がクッキーの個包装からアイディアを得て、亀田製菓の米菓では初の試みとして「ハッピーターン」を一つずつキャンディのように個包装した。
この包装は「キャンディラッピング」と呼ばれ、これにより、ハッピーターンのシンボルともいえる形が誕生。手も汚れづらくなり分け合えるという独自の機能性が生まれた。

こうした新奇性のため受け入れられるまでには長い年月を要した。
歴舎マネージャーは、市場浸透へのターニングポイントとして、2004年にキャラクターをデザインしたパッケージを発売したことと2005年のパウダーポケット製法の導入を挙げる。
パウダーポケット製法は、生地にパウダーポケットと称する溝を入れ、生地の表面積を大きくすることでパウダーがより生地に入りこむようにした。現在はさらにブラッシュアップし、パウダーをふりかける前にハッピーオイルをかけてコクと旨みをプラスしている。
「生地も特殊な焼き方をしていてソフト系よりも若干パリッとしたクリスピーな感じになっている。ハッピーという名のつくお菓子が50年近く続いていることが一番の独自性であり、発売当初から小中学生のお子様を持つ30-40代のファミリー層に支持され続けていることがロングセラーの秘訣」と胸を張る。

