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飲料系飲料国産レモンの島・大崎上島でポッカサッポロ佐藤雅志社長自らレモン食育活動 レモン総需要拡大へ価値啓発と生産振興の機運醸成

国産レモンの島・大崎上島でポッカサッポロ佐藤雅志社長自らレモン食育活動 レモン総需要拡大へ価値啓発と生産振興の機運醸成

 ポッカサッポロフード&ビバレッジは12月10日、瀬戸内に浮かぶ「レモンの島」と呼ばれる広島県大崎上島でレモン食育活動を実施した。

 No.1レモンカンパニーを志向しレモン総需要拡大に向けたレモンの価値啓発と生産振興の機運醸成が目的。

 「ポッカレモン100」や「キレートレモン」を展開する同社は今年、レモン事業に一層集中していく方針を掲げ、商品・価値啓発・原料(生産振興)の三位一体でレモン事業を推進している。

大崎小学校で先生役を務める佐藤社長
大崎小学校で先生役を務める佐藤社長

 今回、大崎小学校に集まった大崎小学校(16人)、木江小学校(5人)、東野小学校(8人)の5年生・計29人を対象に佐藤雅志社長自らが先生役を務めた。

 約2時間にわたり、児童の体験を織り交ぜた授業を行ったほか、教室から徒歩5分の場所にある自社農園(大崎上島町中野)へと場所を移して収穫体験を先導した。

 給食にも加わり、自社農園産レモンを使用した特別献立を児童とともに賞味した。終始、笑顔で児童に接し、ほほえましい場面が多々みられた。

給食にも加わり自社農園産レモンを使用した特別献立を児童とともに賞味
給食にも加わり自社農園産レモンを使用した特別献立を児童とともに賞味

 先生役を務め上げた佐藤社長は「『どういうレモンがおいしいの?』『レモンを丸ごと上手く使えないの?』といったドキッとするような素朴な疑問が投げかけられ、本当に自分なりに考えないといけないことも出てきて、いい刺激になった。なにより、子どもの笑顔を見ることができて嬉しかった」と笑みを浮かべる。

 今回の活動を機に、改めてレモン食育活動を継続していく考えを明らかにする。

 「レモンの価値啓発をずっと続けていきたい。大崎上島の皆様に限らず、日本全国の子どもたちや企業に向けて、社内で手分けをしながら価値啓発の活動を広げていきたい」と意欲をのぞかせる。

授業で生徒の体験を見守る佐藤社長
授業で生徒の体験を見守る佐藤社長

 レモン食育活動は、レモンの発祥や伝来の歴史、世界のレモン食文化、健康増進や料理への活用法などのコンテンツで構成され、多彩な角度からレモンの価値を伝える内容となっている。

 生産振興についても全国展開を視野に入れる。

 「日本でのレモンの消費量は多くなく、総需要をもっと高めていくことが大事。全国でそういう活動(生産振興)をしていきたいが、一気にはできないので、まずは広島県と静岡県でスタートし、そこが安定した段階で次のことを考えていく」との考えを明らかにする。

 生産振興の背景には、国産レモンの旺盛な需要がある。

終始、笑顔で児童に接し、ほほえましい場面が多々みられた
終始、笑顔で児童に接し、ほほえましい場面が多々みられた

 同社は、国産レモンを果汁原料に留まらず果皮や果肉、オイルなどBtoBを含めて多岐にわたり手を広げていく原料ビジネスを推進。国産レモンを通じて経済的価値を高めていく一方で、地域への貢献や産地振興に貢献し社会的価値も高めていくことを目指している。

 原料ビジネスに現在立ちはだかるのが国産レモンの安定調達。

 「原料ビジネスの一番の問題は国産レモンの供給安定化。国産レモンの需要がどんどん高まる中で供給量不足は否めない」とみている。

大崎上島の自社農園で児童にレモンの収穫のやり方を指南するマーケティング本部産地形成グループの髙寺恒慈氏
大崎上島の自社農園で児童にレモンの収穫のやり方を指南するマーケティング本部産地形成グループの髙寺恒慈氏

 大崎上島の自社農園は、国産レモン安定調達の施策の1つであるとともに、商品開発探索の場でもある。

 「広島にはレモンの果皮や果実の加工場がたくさんある。自社農園はそれらの加工場と近い場所にあり、自社農園で収穫したレモンをどのように加工するかを模索していく。果皮や果肉、オイルなどを使った商品を開発する中で価値提供を探っていきたい」と述べる。

 自社農園では2019年に栽培開始された。園地面積は約50アール。入植本数は約180本。

 最初の2年は木の成長を優先し21年12月に初収穫。収穫量は21年の1万トン未満から22年に約2トン、23年に約4トン、24年に約6トンと徐々に拡大。今年も当初、増産の見込みであったが、年明けに寒波の影響を受けながらも6トンを超える見通しとなっている。

 今後は自社農園で得られた知見やノウハウを共有して産地振興を図る。

 「ノウハウが非常に蓄積されている。Iターン者やUターン者で農業をやられたい方たちとチームを組んでいくといったことがやれると考えている。農業関係者とコミュニケーションを取りながら仲間を増やしていきたい」と語る。

レモン食育活動で冒頭挨拶する谷川正芳町長
レモン食育活動で冒頭挨拶する谷川正芳町長

 ポッカサッポロと大崎上島は2016年に包括協定を締結。

 締結後の動きについて、レモン食育活動に招かれた大崎上島町の谷川正芳町長は「やはり一番変わったのは、東京圏からIターン就業を希望される方々の情報源がポッカサッポロさまだということ。ポッカサッポロさまという言葉がほとんどで、就農希望者は『平地でレモン栽培』という言い方をされる」と述べる。

 谷川町長によるとIターン者数は約10年間で、就農希望者を含めて300人程度に達したという。

瀬戸内に浮かぶ大崎上島町
瀬戸内に浮かぶ大崎上島町

 大崎上島町では、町の農業の担い手となる新規就農者を育成するため、新規就農者への農業用機械整備補助と新規就農者が営農を学ぶための研修受入法人などに助成を行っている。

 新規就農者の条件は、営農を開始して5年以内の者で、3年後に認定農業者に認定申請する営農計画を立てることが可能な者と定められている。

 海景色の映えるまちとしても脚光を浴びる。国際バカロレア認定校で全寮制の中高一貫校の広島叡智学園が2019年に開校し、温泉総選挙2025絶景部門において「大崎上島町きのえ温泉」が全国1位を獲得し2024年に続き2連覇を達成した。

レモン食育を受けた大崎小学校、木江小学校、東野小学校の5年生の児童29人
レモン食育を受けた大崎小学校、木江小学校、東野小学校の5年生の児童29人

 レモンやみかんなどの柑橘類の栽培には水はけがよく日当たりのよい丘陵地が適しているとされるが、後継者不足の中で農業従事者への負担が大きい。
ポッカサッポロの農園は、将来の集約農業・スマート農業を見据えて、平地に位置し軽トラへの積荷が容易になっている。

 佐藤社長は「効率なレモン農業のアドバイスがかなりできると思っている」と自信をのぞかせる。

 なお、ポッカサッポロのレモン調達量の割合は、果汁ベースで海外産約95%・国産約5%。加工用国産レモンの調達量は400~500トンで推移している。

 大崎上島での自社園地と契約農家を含めた園地面積は約1ヘクタール、収穫量は2024年実績でトータル約10トン。自社農園で収穫したレモンは、基本的にJAへ納めている。

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