クマ被害が連日報じられる。駆除が抜本的解決とは思えないが、駆除を進め被害を抑えながら、効果的な策を練るべきではないだろうか。
▼クマだけではない。北海道ではエゾシカによる農作物被害が再び右肩上がりに。道庁によるとエゾシカの推定生息数は14年に70万頭を割ったが、21年には増加に転じた。捕獲数は増えているのに生息数が減らない。19年からの捕獲数は計画を下回り続ける。ハンターの高齢化に加え、コロナの流行やウクライナ戦争とも関係がありそうだ。
▼エゾシカ肉などの利活用提案をする縁和の亦部章弘社長は「コロナ禍や戦争で世界的に銃弾が不足し、弾の価格が以前の3倍に跳ね上がった。四輪駆動車を使うハンターにとって、ガソリン価格の上昇も重荷」と指摘する。
▼獣肉の用途拡大も急ピッチに進めなければならない。亦部氏は「ヒグマもエゾシカも適切に下処理した3歳までの肉はおいしい。ヒグマの肉はくさみなどなく、焼くだけで楽しめる。加工食品については、道内に2次加工業が少ない。道内で完結したいが、道外の企業にお願いするしかない」と課題を口にする。インフラ整備には民だけでなく官のさらなる支援が必要だ。


