世界的なバイオ燃料需要の増加で食用油のコスト環境が悪化している。日清オイリオグループ、J-オイルミルズの製油大手2社の上期決算は、それぞれ営業利益32.6%減、53.8%減の大幅減益となり、相次ぎ通期業績を下方修正する非常事態となっている。
日清オイリオグループは通期の営業利益予想を当初の210億円から150億円に修正。J-オイルミルズも同90億円から50億円に引き下げた。
下方修正の最大の理由は、油脂のコスト悪化と価格改定の遅れだ。製油各社は油脂のコスト環境が悪化するなか、昨年秋から価格改定を打ち出してきたが、想定よりも難航している。
さらに、今年6月には米国がバイオ燃料の混合比率を引き上げる計画を打ち出したことで、オイルバリューが高騰。大豆油や菜種油の需要が増加する一方で、連産品のミールは余剰感が強まり、ミール相場の低迷が油脂価格を押し上げる構図となっている。
製油各社は昨年秋から数度の価格改定を発表し、油脂の価格引き上げを要請している。大口メーカー向けの加工用は6四半期連続の上昇と一定の浸透が進んできたが、業務用斗缶や家庭用は節約志向の高まりもあり、反映が遅れていた。
こうした中、10月に入り、小売業のPB製品や、業務用斗缶の市中価格も上昇傾向にあり、値上げの土壌は整いつつある。業務用斗缶の市中価格も年末に向けて上昇傾向にあり、値上げの土壌は整いつつある。油脂のコスト環境はしばらく厳しい状況が予想されるなか、製油各社はもう一段の価格引き上げが急務となっており、今後の食品価格への影響も避けられない情勢となっている。


