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2025 / 11 / 08 土曜日
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飲料系飲料キリンの「氷結」と「午後の紅茶」が廃棄される規格外果実を救う 規格外ふじりんごを使用した新商品でフードロス削減に貢献
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

キリンの「氷結」と「午後の紅茶」が廃棄される規格外果実を救う 規格外ふじりんごを使用した新商品でフードロス削減に貢献

 キリンビールは「氷結」で、キリンビバレッジは「午後の紅茶」で、色づきやサイズを理由に規格外となったふじりんごを使用した新商品を発売することでフードロス削減に貢献する。

 新商品名は「氷結 mottainai ふじりんご」(キリンビール)と「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」(キリンビバレッジ)。

 「氷結 mottainai ふじりんご」は11月18日から期間限定発売、「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」は12月2日から数量限定発売され、売上1本につき1円を生産者支援に寄付する。

 2社がコンセプトと使用原料で足並みを揃えて商品を発売するのは初の試み。

「キリン 氷結 mottainai ふじりんご」&「キリン 午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」発表会の様子
「キリン 氷結 mottainai ふじりんご」&「キリン 午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」発表会の様子

 11月4日、キリンビールの今村恵三執行役員マーケティング部長は発表会に登壇し「志を同じくする仲間をより増やしながら、より豊かで持続可能な社会の実現を目指す」と意気込みを語る。

 キリンビールは「『氷結』ブランドの根幹である果実農家さんを支援したいという強い思い」から、2024年に規格外果実を活用した「氷結 mottainai」シリーズの展開を開始。
 今年4月には、同シリーズを発展させる企業横断型プロジェクト「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」を立ち上げ、オイシックス・ラ・大地とビビッドガーデンとの協働を開始した。

 今村氏は「プロジェクトを展開するなかで、もっと多くのフードロス削減を実現して、農家さんを支援したいという思いがさらに強くなった」と述べる。

 この想いから、産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンと協業することで、長野県・青森県と県をまたいで多くの生産者から規格外のふじりんごを確保した。

 確保した規格外果実を活かしきるため、キリンビバレッジも「午後の紅茶」ブランドで同プロジェクトに参画。清涼飲料の強みを活かして「氷結」ブランドではアプローチできない飲酒が禁止される20歳未満の層との接点拡大にも取り組む。

 「午後の紅茶」ブランドにとって、CSVの体現の打ち出しや紅茶低関与層へのアプローチにもつながりうる取り組みとなる。

 キリンビバレッジの原英嗣マーケティング部午後の紅茶シニアブランドマネージャーは「紅茶の良さをさらに広げるために、果汁を入れた『FRUITS&ICE TEA』などを新たな柱と捉えている。茶葉の生産地であるスリランカへの支援を継続するとともに、今後はフルーツについても社会貢献活動を行っていく」と力を込める。

 キリンビバレッジのマーケティング部ブランド担当の加藤華氏は「新商品はフルーツティーとしてのおいしさもありつつ、紅茶のノンユーザーでもプロジェクトへの共感をきっかけに若年層を中心にリクルートできる」と自信をのぞかせる。

 生産者にとっては、規格外で廃棄を余儀なくされるふじりんごの有効活用につながる。

 今回、原料を提供した一人である有限会社安曇野ファミリー農産の中村隆一専務取締役は「当農園の場合、多いときで当農園の扱うふじりんごの約2割にあたるおよそ6万個、重さにして約20トンを廃棄する年もあった。どうにかしたいとずっと思っていたが、個人の農家では難しかった」と語る。

 今回の取り組みについては「ご購入していただいたお客様には、“この商品を選んだことで農家の力になれた”と感じていただきたい」と期待を寄せる。

 同プロジェクトは若年層を中心に共感の輪の広がりが見込まれる。

 キリンビールのマーケティング本部マーケティング部RTD・スピリッツカテゴリー戦略担当の資逸晴亮(すけいつ・せいすけ)氏は「特に若年の方に多くプロジェクトに共感していただいていることは、キリンとしても『氷結』ブランドとしても重要なことだと考えている。今後も拡大していきたい」と意欲を示す。

 若年層に共感されやすい理由については、マーケティング部ブランド担当の當麻汐音氏は「若年層は、SDGsのアクションなどが身近で、持続可能な未来を自分事化しやすい世代。そのため、おいしさと社会性を両立した活動により共感していただけるのではないか」との見方を示す。

 「氷結 mottainai ふじりんご」の販売目標は約21万ケース。目標達成によりフードロス削減量約9.6トン、販売による生産者への寄付金額約480万円を目指す。

 一方、「午後の紅茶 mottainai ふじりんごティー」の販売目標は約20万ケース。目標達成によりフードロス削減量約3.9トン、販売による生産者への寄付金額約480万円を見込む。

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