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飲料嗜好飲料AGF鈴鹿、工場を近隣住民に開放して一大イベント開催 親子見学会は規模拡大 地域に根ざした持続的な成長と社員の絆強化を志向
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AGF鈴鹿、工場を近隣住民に開放して一大イベント開催 親子見学会は規模拡大 地域に根ざした持続的な成長と社員の絆強化を志向

 味の素AGFの西の生産拠点であるAGF鈴鹿は10月5日、「AGF鈴鹿 工場開放DAY!」と銘打ったイベントを開催して工場(三重県鈴鹿市)を近隣住民に開放した。

 これに先立ち7月と8月には、同工場で「夏休み親子見学会」を昨年と比べ規模拡大して実施した。

 これらのイベントは、将来の地元人財確保などを見据えた地域密着の取り組みとなる。

 取材に応じた総務・広報係を統括する管理部人事・総務グループの稲垣秀和さんは「AGF鈴鹿が持続的に成長していくためには、地域の皆さまにAGF鈴鹿のことをもっと知っていただき、安全安心な会社だと思っていただく必要がある。多くの方がコアファンになっていただければ、事業も上向き地域の中での雇用確保や会社の成長につながるはず」と説明する。

 イベントの開催には社員同士の絆を強める狙いもある。

 「やはり楽しく、安全安心に、品質を高めながら生産していくためには、横のつながりを強めていくことは不可欠」とみている。
 この考え方が浸透して9年ぶりの開催の運びとなったのが「工場開放DAY!」。

 これは、近隣住民に感謝を伝えることを目的に過去からほぼ毎年、10月1日の「国際コーヒーの日」の前後で開催していたもので、コロナ禍を経て社内に一体感が醸成されたことを契機に再開された。

 今回、社内で運営スタッフを募ったところ、社内の各グループから手が挙がり27人によるプロジェクトチームが結成された。

 プロジェクトの旗振り役を務めた管理部人事・総務グループ人事・教育係の小林隆弘さんは「今期様々なプロジェクトが立ち上がったことで、部署同士のつながりや風通しがよくなり会社の雰囲気が明るくなった。だからこそ、今期はイベントの復活をぜひ実現したかった」と語る。

 本番に向けて7月から準備と打ち合わせを重ねたことで社員同士の結束はさらに強まったとみられる。

 コーヒーを振る舞って感謝を伝えるチーム、工場見学を担当するチーム、会場のレイアウトを考えるチーム、環境取組など鈴鹿の未来を伝えるチームの主に4チームに分かれ、全体のミーティングを10回程度、チームごとにもミーティングを行って企画を練り上げ準備を進めていった。

 「打ち合わせや準備を通じて社員同士の団結力が物凄く上がったと感じている。大げさに思われるかもしれないが、多くの社員が今、AGF鈴鹿が変わろうとしていると実感しており、自分たちがやらなければならないとの想いを持っている人が増えている」との手応えを得る。

 今年再開した「工場開放DAY!」は、雨天にもかかわらず約1200人が集まり盛況となった。

稲垣秀和さん(中央)、小林隆弘さん(左)、三村萌乃華さん(右)
稲垣秀和さん(中央)、小林隆弘さん(左)、三村萌乃華さん(右)

 稲垣さん率いる工場見学チームに加わった入社2年目の管理部人事・総務グループ総務・広報係の三村萌乃華さんは「想定以上に来場者が多く、当初2回を予定していた工場見学を急遽増やして計3回実施した。社内的には準備期間に、普段すれ違うときにしか挨拶しない人ともちょっとした会話ができるようになったのが嬉しかった」と振り返る。

 催しは工場見学のほか、コーヒーとオリジナルコーヒーゼリーの振る舞いや輪投げとスーパーボールすくいのミニ縁日、女子ハンドボールチーム・三重バイオレットアイリスによるハンド体験(9つの的を準備して5球投げて当たった回数によって景品プレゼント)などが多彩に行われた。

 環境取組紹介ブースと健康経営紹介ブースでは、説明を聞くとミニ抽選会への参加権やプレゼントがもらえるようにして参加を促した。AGF公式キャラクター「ビーン太くん」との記念撮影コーナーやキッチンカーブースも設置された。

 AGF鈴鹿では、今回の再開をミニマムスタートと位置付け、今後、規模を徐々に拡大して地元の人気イベントにしていく。

廃棄予定のインスタントコーヒーを使用したハンカチを染め
廃棄予定のインスタントコーヒーを使用したハンカチを染め

 AGF鈴鹿の工場見学の一般受け入れは、コロナ禍の休止期間を挟んで2023年に再開。昨年は約6000人を受け入れ、今年の受け入れ件数は9月時点で約4000人に達し、昨年を上回る目標を掲げる。
 この目標達成の一翼を担いつつ、近隣住民との関係を深めるために昨年に開始したのが「夏休み親子見学会」。

 これは、消費者キャンペーンで実施している”食品を通した学び”の体験機会を、近隣の子どもにフォーカスして提供する工場発信の親子見学会となる。通常の工場見学の内容に、環境に関する説明とハンカチ染め体験を加えた。

 今年は、昨年の1日開催(午前・午後の計2回)から、7月26日と8月9日の2日間(計4回)開催へと拡充。
 「夏休み親子見学会」の企画・運営にあたっても、工場見学を担当する6人の社員が中心となり、2か月前から練り上げていった。
 今年は新たな試みとして、環境に関する説明の際に専用ノートを提供した。

 「環境に関しては、コーヒー栽培に欠かせない水や3Rについて説明し、今年は夏休みの宿題としてそのまま提出できるように環境ノートも提供したところ、ご好評をいただいた」と三村さんは述べる。

 ハンカチ染め体験は、廃棄予定のインスタントコーヒーを使用してハンカチを染め上げ、豆乳を使って文字や絵を入れてオリジナルハンカチに仕立てる内容。参加者からは「親子で楽しむことができた」「良い思い出になった」などのコメントが寄せられ好評を博した。

 工場見学では衛生服をまとい製造ラインを見て回る。各施設の中で子どもから一際大きな反響が得られるのは、スティックミックスのリニア搬送ラインである。
 「透明な床の下に搬送ラインがあるため、お子さまからは“電車が走っているように見える”と、とても喜んでいただけている」という。

 募集にあたり、現在は手配りのチラシ配布や、SNSでの募集をメインとしているが、ホームページからも申し込める仕組みを整え、来年は「夏休み親子見学会」においてもさらなる規模拡大を予定する。

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