マルハニチロは、冷凍の個食米飯「WILDish(ワイルディッシュ)」シリーズで、韓国ツナ缶詰市場トップの「Dongwon(ドンウォン)唐辛子ツナ」と越境コラボした新商品「唐辛子ツナ炒飯」を日本・韓国の双方で展開する。
味付けは韓国・東遠(ドンウォン)社と協議を重ねて開発。それぞれの国向けに比較的食べやすい辛さの日本版(9月から発売中)、たっぷりの唐辛子パウダーで刺激が強めの韓国版を作り分けた。後者は12月に日本でも数量限定で販売する。
「WILDish」を韓国に輸出するのは初めて。現地での販売はドンウォン社が担う。まずはECでスタートし、将来的にコンビニなどへの展開も視野に入れる。想定売価は約550円。
「WILDish」は日本で2019年に登場して以降、袋のまま調理・喫食できる手軽さや本格感あるおいしさが支持されヒット。直近の販売規模は年間20億円以上まで成長している。
加工食品ユニット市販用冷凍食品事業部の長谷川孝成部長は「単身世帯の増加やテレワークの定着が追い風になった。環境にも配慮した個食型のフィルム包装になっており将来的に消費の主役を担うZ世代以降のエシカル思考(SDGs重視)に合致していることも強み」と手応えを話す。
ドンウォン社とはかねてよりツナ缶原料等で取引があった。東遠(ドンウォン)ジャパンの河基錫(ハ・キソク)社長によると、韓国の冷凍食品市場は約3000億円まで拡大し、うち市販用の米飯は約165億円となっている。ただし日本の製品はほとんど流通していないという。要因には関税(50%)の影響で現地製品と価格差が大きいことなどが挙げられる。
とはいえ、ハ社長は「WILDish」の韓国版「唐辛子ツナ炒飯」について「商品コンセプトやターゲットが明確で差別化できている。韓国でも少子高齢や都市部への人口集中が進行。個食ニーズの高まりに応えられる」と期待を寄せる。また、「韓国もインフレ傾向で従来に比べると日本からの輸入品と価格差が縮まっている」ことも付け加えた。韓国版は日本で12月上旬からマルハニチロのオンラインショップで販売予定。刺激的な辛さが特長だ。1人前(230g)、オープン価格。「日本版との食べ比べを楽しんで欲しい」(同社)。

今後の海外展開について、長谷川部長は「原材料や添加物の制約など課題は多いが、韓国への輸出では大きな壁を越えることができた。引き続き様々なことを学びながら徐々にスピードを上げていきたい」とした。


                                    