東日本砂糖特約店協同組合は10月21日、第41回東日本流通懇話会を開催した。西川宗行理事長が「砂糖特約店の持続的発展のために~近江商人の三方よしの理念に学ぶ~」と題し講演。続いて農林水産省農産局地域作物課・飯塚康太課長補佐が「砂糖行政をめぐる現状~令和7砂糖年度をむかえて~」を講演した。
西川理事長(メルクロス社長)の話
メルクロスは今年で創業440年を迎える典型的な近江商人。近江商人には「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の理念がある。売り手、買い手、世間のいずれにとっても利益にならなければ事業は継続できない。利他の精神、社会貢献の精神が必要という意味だ。
特約店組合加入数は2000年の174社から2025年3月末時点で133社に減少。特に、2020年以降の精糖値上げでは大変ご苦労されてきた。精糖メーカー各社は11月から約3%の値下げを発表したが、今回の値下げをそのまま当てはめてしまうと、特約店の利益体質を変えることはできない。
事業を継続していくうえで1円でも2円でも自社に残す努力をすることが商人の本分ではないか。お客様にていねいにご説明し、粘り強く交渉することが「三方よし」につながり、社会全体に富をもたらすことになると信じている。

農林水産省・飯塚課長補佐の話
改正食料・農業・農村基本法の柱は「食料安全保障」。中でも砂糖は摂取カロリーの8%を占める重要品目であり安定供給の確保が課題である。
さとうきびは沖縄・鹿児島南西諸島の代替の効かない基幹作物であり、てん菜は北海道の輪作体系を構成する上で不可欠な作物。生産者・製糖業を支えていくことが重要だ。
令和6砂糖年度の砂糖勘定は単年度19億円の赤字の見込みだが、「糖価調整制度安定運営緊急対策交付金」を60億円措置し、累積赤字は598億円に改善する。
これまで調整金収支改善に向け「てん菜方針」を決定したほか、異性化糖調整金の再徴収も開始。また、令和6砂糖年度の調整率を13年ぶりに引き上げるなど、精糖業界の皆さまにもご苦労をおかけしている。
今後も砂糖需要の維持拡大とともに、糖価調整制度の持続可能性の向上に取り組むべく、予算措置含めあらゆる手段を講じていく所存である。



 
                                    