機能性ヨーグルト市場は、価格改定や消費者ニーズの変化で各社の戦略見直しが進む。上期は飲むタイプが前年並み、食べるタイプは苦戦。単価の高い商品から、大容量や連物商品へのシフトも目立つ。
かつて「機能戦争」と呼ばれた市場では、免疫や整腸、睡眠など多様な訴求が乱立し、消費者が選択に迷う場面も増えている。各社は機能を明確に伝えるとともに、ヨーグルトで摂る意味の再定義に取り組む。
森永乳業は、日本で初めて「のどの乾燥感軽減」の機能性をパッケージに表示した「森永ラクトフェリン200ドリンクタイプ」を発売。免疫機能維持とのW機能で、働き盛り世代の健康維持に役立てる狙いだ。
明治はMI―2乳酸菌入り「明治ヘモグロビンA1c対策ヨーグルト」を投入。ヘモグロビンA1cに言及する乳製品としては世界初で、12週間の継続摂取でHbA1c(直近1~2か月平均血糖値)が0.1%低下することを確認。担当者は「乳酸菌研究で得た作用を生かした唯一無二の商品」と自信をみせる。
雪印メグミルクは昨年「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ」を刷新。既存の内臓脂肪低減に加え腸内環境改善の機能を追加した結果、間口拡大に手ごたえを得ている。
一方、過熱するエビデンス競争への懸念もある。「様々な食品で機能性表示があふれ、ヨーグルトを選ぶ理由が薄れる」「“機能疲れ”が広がっている」との指摘もある。乳酸菌飲料との売場競争も激しく、「原価の高いヨーグルトは利益確保が難しい」との声も上がる。
厳しい状況下、改めて“ヨーグルトのおいしさ”を軸に再構築する動きも出ている。小岩井乳業の「小岩井 免疫ケアヨーグルト」は第3四半期(1~9月)、大型容器が前年比25%増を記録。おいしく免疫ケアできる楽しさが支持されており、果物やシリアルを入れて楽しむ人も多い。今後は機能の差別化に加え、消費者が“ヨーグルトで摂る理由”をいかに創出できるかが焦点になりそうだ。












