ニチレイフーズは、生産部門に高度なAI技術によるシステムなどを積極的に導入し、大幅な作業時間の削減や省人化に成功している。最新工場(キューレイ・福岡)ではセンサーやカメラから得られる情報を一元管理するシステムとペーパーレス化の推進により工場内外で“現場の見える化”も実現。今後は同様の取り組みを他の国内生産拠点に順次展開していく。
スマートファクトリーを拡充へ
10月9日、「JAPAN PACK 2025 日本包装産業展」内のセミナーで生産統括部生産戦略部生産革新グループの塚本真也グループリーダーがスマートファクトリーの最前線を語った。
同社はエンジニアリング力を最大限に発揮した安全・安心、おいしさ、自動化技術、環境配慮を追求。なかでも生産部門内に新技術の開発を担う数十人のスタッフを抱えることが特徴だ。「たいやき」や「本格炒め炒飯」にみられるオリジナルの製造装置を開発する「装置開発グループ」、IoTやプログラミング技術で圧倒的な生産性向上を目指す「生産革新グループ」がそれぞれ機能している。
生産計画には高度なAI技術搭載のシステムを導入。仮に生産アイテムが80品目、7ラインを備えた工場だと、販売の見込み、在庫情報、品質の担保、労働の安全性など約16兆通りもの組み合わせがあるという。これを従来は熟練者の勘や経験で一つの案に絞り込んでいたが、新システムでは生産計画を立案する作業時間を10分の1に短縮できるようになった。「熟練者以外の従業員でも使えるため、働き方をフレキシブルに組める」(塚本リーダー)こともメリット。本システムは日立製作所と共同開発。
グループ会社キューレイの最新工場は炒飯類の生産拠点として23年に稼働。ニチレイフーズの中で最先端のスマートファクトリーとなっている。
工場内には現場のセンサーやカメラで収集したデータをリアルタイムで管理するシステムを導入。通称コックピットと呼ぶ部屋内ではスタッフが工場全体をモニタリングして的確にサポートする。
「センサー管理の見える化により課題に対する気づきや打ち手の対応が早くなった。従来は作業者がラインを巡回し、異常を見つけたら上司に口頭で報告して情報を展開していた。今は予期せぬトラブルが起きてもリアルタイムで監視しているのですぐに対応可能。タイムラグがなくなり食品ロス削減にもつながっている」(塚本リーダー)と手応えは大きい。
また新工場は紙帳票を廃止し、スピーディーに作成可能な電子帳票に切り替え、ペーパーレス化を推進してきた。これにより年間で帳票の作成や確認にかかっていた作業を300時間削減し、紙の使用量を2.8万枚削減できるという。さらに電子帳票と生産部門のシステムを連携。これら電子データをタブレット等ですべて工場内外から確認できる体制を整えた。「非常に大きな効果を発揮している」(塚本リーダー)。












