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2025 / 12 / 01 月曜日
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農水畜産業水産アイルランド産魚介類 日本市場開拓へ今年もシーフードショー出展
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

アイルランド産魚介類 日本市場開拓へ今年もシーフードショー出展

広大な大西洋がもたらす海の恵みによって育まれる、アイルランド産シーフード。輸出に力を入れるアイルランドの水産業界が、とりわけ重視するのが日本市場だ。8月に東京ビッグサイトで開催された「第26回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」には、同国のシーフードサプライヤー各社が参加。日本の顧客に向けて、高品質の製品をアピールした。

農水産品や食品のマーケティングを担う、アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)が今年もブースを出展。

日本マネジャーのジョー・ムーア氏は「コロナ後初めて出展した昨年に続き、今年も参加できて大変うれしく思う。ボード・ビアとアイルランドの水産会社が一体となり、日本のお客様と良いお話ができてうれしい。従来はサバ、つぶ貝がメーンだったが、今年からカキなども入ってくるようになり、今後さまざまシーフードを日本のお客様に紹介したい」と意欲を示す。

同国の食品は、世界唯一の国家的食品サステナビリティ制度である「オリジングリーン」に基づき生産される。

「多くの国もサステナビリティを強調するようになったが、生産現場からのデータを使っているのはアイルランドだけ。最初であり、唯一としてのプライドがある。欧州でも日本でもお客様からの関心が高まっており、本当の結果はこれから見えてくるだろう」。マーケット・スペシャリストのバリフ香蓮氏が強調する。

ギャラガー・ブラザーズのブース
ギャラガー・ブラザーズのブース

〈ギャラガー・ブラザーズ〉高品質で信頼獲得

アイルランド北部の港町・キリーベッグスに位置する、創業100年を超える家族経営の水産会社。国内水産業の発展に伴い、中核事業である加工事業を拡大。養殖業や漁業へと事業を多角化してきた。現在は冷凍遠海魚からオーガニックサーモンまで、高品質な製品を幅広く生産している。

日本にはアジやサバなどを輸出。日本市場を重視し、シーフードショーにはコロナ前から出展を続ける。

約26億円を投資した新工場では、これまで人手で運び入れ冷凍していた魚を、搬送から冷凍まで自動で行うシステムを導入。電力使用量も大きく削減した。

「日本のお客様に見ていただくと皆さん感心され、満足していただける」と語るのは、同社ディレクターのデイヴィッド・ギャラガー氏。

「漁獲後1日目に凍らせるのと2日目に凍らせるのとでは、品質に大きな違いが出る。日本に出荷するのは1日目のものだけで、それほど重要なマーケットだと考えている」。

近年はフライ用の小型のアジが人気。また子会社が展開するオーガニックサーモンも日本市場で潜在的な需要が大きいとみて、販路を広げたい考えだ。

プレミエ・フィッシュ・プロダクトのブース
プレミエ・フィッシュ・プロダクトのブース

〈プレミエ・フィッシュ・プロダクト〉日本の顧客と関係親密

北大西洋の魚介類が豊富な海域で獲れる遠海魚を加工するため1981年に設立された、アイルランド有数の水産加工業者。3隻保有する自社船で漁獲した魚介類の品質を直接管理し、最高品質のシーフードを安定供給する。

主力はサバ、アジ、ブルーホワイティング(タラの一種)などの遠海魚。輸出のうち日本向けは約40%と高いシェアを占める。

「日本のお客様はロイヤルカスタマーが多く、約20社と仕事をしている。みんな友人のような感覚での付き合いで、日本に来るのが毎年楽しみ。日本から当社の工場を視察に来ることもある」(ゼネラルマネージャー マーティン・ミーハン氏)。

増え続ける需要に応えるため、北部のキリベッグスに最新鋭の加工工場を開設。水揚げ港からわずか数分の場所に位置しているため、迅速に加工した製品を新鮮な状態で届けることができる。

キリーベッグス・シーフードのブース
キリーベッグス・シーフードのブース

〈キリーベッグス・シーフード〉サバとマアジ 重点PR

1967年に白身魚のフィレ加工から事業を開始し、80年代に進出したペラジック(回遊魚)分野では国内最大の生産者の一つ。キリーベッグスに拠点を構え、1日500tの冷凍処理能力を備える。

「アイルランドの水産業は主に家族経営の企業が中心。オーナー自らがお客様と直接やり取りし、それぞれの市場に合った最適な製品を供給している。当社もパートナーとの長期的なビジネス関係にコミットしており、日本市場では30年以上にわたり継続的に製品を供給してきた」(同社担当者)。

サバ、マアジ、ニシン、ブルーホワイティング、イワシ類を生産。欧州本土のほか、日本、中国、西アフリカに輸出している。

EUの漁獲割当制度に基づいて操業し、持続可能な漁業への取り組みに重点を置く。

日本市場に向けては、サバとマアジ製品を重点的にPR。自社漁船から工場までを統合したサプライチェーンに基づく品質へのこだわりを、シーフードショーに来場したバイヤーらにアピールした。

ヴァレンティナ・スモークハウスンのブース
ヴァレンティナ・スモークハウスンのブース

〈ヴァレンティナ・スモークハウス〉独自製法のスモークサーモン

アイルランド西海岸で60年以上にわたりスモークサーモンを製造。現在は世界各国に輸出している。

使用するのは新鮮な大西洋サーモンのみ。最大の特徴は、サーモンを塩漬けする際に砂糖を一切使用しないことだという。塩漬け後に燻製し、製品は「Dカット」「ロングカット」またはフィレ全体の形で提供する。

シーフードショーでは、ホテル・レストラン・ケータリングおよび小売向けに 「ヘリテージ・スモークサーモン」 を紹介。さらに、サーモンの中心部を使用した 「ヴァレンティナ・スモークサーモンフィレ」 も展開している。

「私たちは常に新しい市場を求めており、世界各国のシーフード展示会には積極的に参加している。スポーツイベント向けにスモークサーモンを輸出した実績もある。東京では高級食材・水産物の輸入業者や卸売業者の皆様と出会えることを大いに期待している」(同社担当者)。

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