飲料嗜好飲料TICAD エチオピアで植林がコーヒーの生産にも貢献 生物多様性の保全との両立にキーコーヒーの柴田裕社長が期待
カナエ モノマテリアルパッケージ

TICAD エチオピアで植林がコーヒーの生産にも貢献 生物多様性の保全との両立にキーコーヒーの柴田裕社長が期待

 エチオピアで植林がコーヒーの生産に貢献している――。

 8月21日、横浜市で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)パートナー事業「気候に対して強靭で脱炭素なアフリカに向けた⽇・アフリカパートナーシップ」のパネルディスカッションで駐日エチオピア連邦民主共和国のダバ・デブレ・フンデ特命全権大使が明らかにした。

 同国では、森林伐採の問題が深刻化する中、2019年6月にアビー・アハメド首相が森林再生キャンペーン「グリーン・レガシー」イニシアティブを標榜。4年間で75億本の苗木の植樹と、そのために2000万人の市民を動員することを計画し、全ての計画を達成した。

 同イニシアティブには政治家や女性、市民も参画し食の安全保障や経済発展などにも貢献。コーヒー栽培についてもプラスのインパクトをもたらしたという。

 「植林は森林を豊かにする活動であるとともに、アラビカコーヒーにとっても必要。アラビカコーヒーの栽培には日陰を必要とし大きな樹幹のもとに育つことから、植林や植え替えがコーヒーの生産に貢献している」と語る。

キーコーヒーの柴田裕社長
キーコーヒーの柴田裕社長

 この話を受け、キーコーヒーの柴田裕社長は「コーヒー栽培においてさまざまな気候変動への対応策が重要だが、付随して森林や生物多様性の保全も重要と感じている。シェードツリー(日陰木)が日光を和らげ、その下に守られるようにコーヒーノキがある。特にエチオピアコーヒーの原産地は里山のように生物多様性が守られた土地になっている。生物多様性の保全とコーヒー栽培は両立・共存できると考えている」と期待を寄せる。

 アフリカ開発銀行のケビン・カリウキ副総裁は、同行が関わる森林再生や気候変動への適応に関する事業に触れた上で「暑さに強い麦をエチオピアとスーダンで栽培し、3年前、エチオピアは麦輸出国だったのが今日では輸出国となり、適応の最もよい例」と述べる。

 柴田社長は、このようなアフリカに関する情報提供が、アフリカ諸国と日本とのパートナーシップ構築に寄与すると捉えている。
 「キリマンジャロやモカがアフリカのコーヒーであることを知らない人が多く、我々コーヒーの会社も頑張らないといけない。コーヒー以外の他の農産物の情報がどんどん出てくると、日本の生活者も少し身近に感じられて親近感が強まると考える」との見方を示す。

SOIの署名式の様子。左から土居健太郎環境省地球環境審議官とアフリカ開発銀行のケビン・カリウキ副総裁
SOIの署名式の様子。左から土居健太郎環境省地球環境審議官とアフリカ開発銀行のケビン・カリウキ副総裁

 パネルティスカッションで、柴田社長はキーコーヒーが環境省から2024年4月に受託したエチオピアでの「令和6年度気候変動に脆弱な小規模コーヒー生産者の明るい未来提案業務」にも触れる。

 なお、パネルティスカッションに先立ち、環境省とアフリカ開発銀行との間で地球環境保全・公害対策・自然保護推進に関する協力に向けた意図表明文書(SOI)の署名式が執り行われた。

関連記事

インタビュー特集

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。

学生が育てるアーモンドの木 明日の社会へ価値循環 デルタインターナショナル×キャンポスブラザーズ

アーモンドの世界的産地である米カリフォルニア州でも、トップクラスの供給量を誇るキャンポスブラザーズ社。日本の販売総代理店を務めるデルタインターナショナルでは、学生の手でアーモンドの木を育てて商品化することを目指す玉川大学の...

原点は休憩中に見上げたキウイ 全国で食材発掘、生産者と企業つなぐ サッポロビールの地域創生事業

 明治9年(1876年)、北海道で新たな産業を興すべく設立された「開拓使麦酒醸造所」をルーツとするサッポロビール。創業150周年を迎える今も、その“開拓”の精神は息づく。ビール会社としての枠にとらわれない発想力を武器に、事業領域拡張の最前線で奮闘する人物に迫った。一次産業を担う各地の生産者と企業のバイヤーをつなぎ、農林水産物の需要創出をサポートするサッポロビールの地域創生事業。その原点は、外食企業のコンサルティングを手がける部署で九州の拠点に配属されていた、一人の担当者のひらめきだった。

カキ養殖の展望を聞く〈前編〉 “殻付き”市場拡大 環境変化と効率化に対応 シーパジャパン・吉本剛宏社長

瀬戸内海で養殖カキが甚大な被害を受け、生鮮市場だけでなく加工メーカーや流通にも影響が及んでいる。こうした中、従来の養殖方法とは異なるシングルシード養殖法が注目されている。