今年で創業40周年を迎えるドミノ・ピザジャパン。40年前に「宅配ピザ」という新しいライフスタイルを日本に導入し、日本でピザの食文化拡大の一翼を担ってきた。
ピザの市場は拡大したが、競合も増えた。同業やファミレスなどの飲食店だけでなく、近年はコロナ禍で急拡大した宅配食市場、スーパーの惣菜ピザ強化、冷凍・チルドピザの定番化など、ピザに対する消費者の選択肢が増えている。競合増加についてマーティン・スティーンクスCOOは「ピザが日本人の通常食になりつつある点でポジティブに捉えている」と強調する。
ドミノ・ピザジャパンの創業は1985年。日本初の宅配ピザ店を東京・恵比寿に開設した。宅配専用バイクを開発し、30分保障のサービスをスタートさせた。そこから「宅配ピザ」が日本の食市場に根付き、70年代にファミレスメニューにピザが採用されたこととも相まって、日本のチーズの消費量も加速度的に増えていった。農林水産省によると、国内チーズ総消費量は、90年に15万tだったが、現在は30万tを超えている。
同社のメニューはピザで約30種類。そのベースとなるチーズは米国産モッツァレラチーズで、同社専用に開発されたこだわりのオリジナルだ。ピザ専門店だからこそチーズにこだわりがあり、チーズ原料を改良する専門チームを組織化し、他社との差別化に努めている。ここ数年はチーズの原料高騰が続いているが、同社のピザのチーズの量や質を落とすことはなく、マーティンCOOは「購買部門が原材料の最適な購入のために交渉している」と話す。
デリバリー、テークアウト中心の同社が大切にしていることは「扉の向こうに(ピザを通して)幸せを届ける」。強みについては「(全店舗)安定したサービス」を挙げ、その上で「お客様第一の目線で行動しお客様が求めていることを基軸に決断」している。
22年から年に1~2回、全店舗を対象にした社内コンテストを実施し、1位の店舗にはCOO特別賞「役員が1日店舗運営」が付与される。その日は店舗従業員に特別有給休暇が与えられ、その代わりに店長経験もあるマーティンCOOや役員が店舗を運営する面白い取り組みだ。きっかけはキャンペーン時に顧客から「頑張る店舗スタッフにも特典を」との声を多数受けたこと。そこから具現化した。
一方、競合増加に対しては「競合相手がいることは幸せなこと。チャレンジし続けることが重要」とし「商品」「サービス」「テクノロジー」を基本に差別化を図り、売上高や店舗数など「次の成長の基盤を構築している」と先を見据えた。