アルコール0.00%なのに、炭酸やソフトドリンクで割れば「お酒」の味。サントリーが飲食店向けに発売する「ZEROPPA(ゼロッパ)」。ノンアル飲料の可能性を、新たなアプローチで広げることに挑戦する。
「調査したところ、居酒屋ではアルコールだけを楽しむお客様は全体の4割。アルコールだけでなく、清涼飲料やノンアルも楽しむお客様が増えている。われわれにとってチャンスだ」。8日の発表会で、同社ノンアル部長の福本匡志氏が説明した。
ただ料飲店のノンアルは、メニューの隅にビールテイストだけ小さく載っていることが多く、多彩な缶製品が発売されている家庭用に比べて選択の幅が狭いことが課題だった。
保管スペースやオペレーションの問題から、多種類の缶や樽を店舗に常備することは現実的ではない。そこで今回開発したのが、PETボトル入りの“ベースのノンアル”だ。
焼酎やウイスキーのアルコール分を取り除き、香味が凝縮されたエキスで酒らしい風味を実現した「ゼロッパ」。ビールやサワーなど特定カテゴリーの再現を目指すのではなく、さまざまな割材で割ることで、お酒のような余韻や後味が楽しめるようにしたのがこれまでにない特徴だ。提供された試飲セットを、記者も試してみた。
ソーダ割りは、ハイボールやチューハイとも異なる、ほのかな酸味や甘みが感じられる独特の味わい。だが口に含んで飲み干すと、まぎれもない酒の後味だ。ペプシコーラで割っても、コーラに負けない酒の風味がしっかりと感じ取れる。酒好きの人もクセになりそうな、不思議なおいしさである。

「ゼブラ飲み」提案やコンセプトショップも
さまざまなドリンクと組み合わせることで、レシピ展開の可能性は無限大。「飲食店のみなさまに、われわれも想像していなかったカクテルを作っていただき、楽しんでいただければ」(開発担当の宮嶋麻由氏)。
「ゼロッパ」は9月16日発売。500㎖PET、希望小売価格400円(税別)。アルコールとノンアルを交互に楽しむ「ゼブラ飲み」の提案も行いながら、年内に1000店舗での取り扱いを目指す。
飲酒人口の減少が既定路線である酒類業界が、将来的な有望市場として期待するのがノンアル・低アル飲料。これらを「スマートカテゴリー」と位置付けるアサヒビールは「スマートドリンキング(スマドリ)」を旗印に、新市場開拓へ力を入れる。
一方「ドリンクスマイル」を掲げるサントリーが目指すのは「ノンアルをSMARTからFUNな飲み物に」。酒の代わりに我慢して飲むのではなく、楽しいときの積極的な選択肢とすることを狙う。
「ときに業界全体で切磋琢磨しながら、ノンアル市場を盛り上げていきたい」(福本氏)。
新商品の発売を前に、ノンアル飲料の常設コンセプトショップ「ノンアル∞STANDbyZEROPPA」を7月18日から東京タワーフットタウンビル(東京都港区)にオープン。ここだけのオリジナルメニューで、多彩な楽しみ方を伝える。
