コンビニ、「コメ」への対応強化 定番おにぎりで独自価値を訴求

コメや海苔の価格高騰が続くなか、コンビニ各社はおにぎりの価格対応や価値提案を強化している。定番品リニューアルのほか、もち麦や玄米を効果的に使った商品の取り扱いも増やしていく。

コンビニ各社は今年に入り、おにぎりや弁当など一部商品の価格改定や仕様変更を複数回実施した。

ファミリーマートの細見研介社長は4月の決算説明会で「コメの価格は日本国民の関心事の一つだ。おむすびに焦点を当ててコメの訴求を強める」と述べた。3月から定番の「おむすび」シリーズを全面リニューアルし、大谷翔平選手を起用したキャンペーン等で訴求した結果、新規顧客の獲得につながるなど大きな手応えを得た。

コメの調達については「25年度も伊藤忠グループの尽力により一等米と高品質な海苔の安定供給に見通しが立っている」としたうえで、「歴史的な供給体制が曲がり角にきている。コメは主食であり価格安定につながる対策を矢継ぎ早に出してもらいたい」と要望した。

セブン-イレブン・ジャパンは、腹持ちのよさや健康志向でおこわのニーズが高まっていることから、4月29日に「赤飯おこわおむすび」をリニューアル。5月には八代目儀兵衛監修の「こだわりおむすび」も刷新し、高品質米の徹底した品質管理やこだわりを、著名人を起用したTVCMなどで発信予定だ。

ローソンはメニューによってコメの種類を変えていく。竹増貞信社長は「例えばグリーンカレーにはタイ産、これには米国産が合うなど、そのメニューが最もおいしく感じられるコメを研究し、品質を担保したうえで提供していく」と述べる。

もち麦や玄米を使った商品も広がりをみせている。

4月22日から関東のナチュラルローソンで、使用する白米の一部をもち麦に変えたおにぎり3種を発売開始した。「もともと健康目的で麦や玄米を使った商品に挑戦してきた。糖質が抑えられてコメ不足にも貢献できる」(竹増社長)。

ミニストップは税別98円のおにぎりシリーズをもち麦使用の商品に全面リニューアルし、価格軸と健康軸の両軸で訴求を強めている。「ひじき入りご飯」は、国内産ダイシモチのもち麦を使用し、ポリフェノールや食物繊維が摂れる。「単純な価格転嫁ではなく、新たな価値を提案しながら98円の価格を維持する」(藤本社長)。

株式会社アピ 植物性素材