味の素社は、タイで50年以上にわたり親しまれる即席袋麺「Yum Yum(ヤムヤム)」シリーズの日本における本格販売を2025年春から開始した。
タイで製造した本場のトムヤムクンスープを輸入し、麺は新開発したモチモチ食感の太麺(国内製造)を採用。5月中旬以降はテレビCM、デジタル広告、キャンペーンなどを順次展開し市場への浸透を図っていく。開発を担当した食品事業本部コンシューマーフーズ事業部スープグループの田代雅也氏は「即席麺ユーザーの中で本格エスニックが当たり前の選択肢となるよう商品を育てていきたい」と意気込む。
現地スタッフもお墨付きのおいしさ
タイの即席麺市場で「Yum Yum」はシェア2位の座にあり、年間約8億食を販売する。味の素グループのワンタイフーヅ社が1972年に発売して以降、本格的なおいしさを手軽に楽しめる商品として親しまれ、子どもから大人まで世代を超えて食べ継がれてきた。国外の販路開拓も進んでおり、ドイツ、フランスではシェア1位を誇る。
日本で販売するのはタイでも人気の「トムヤムクンヌードル」「トムヤムクンクリーミーヌードル」の2品。最大の特長は酸味・辛み・甘みのおいしさがバランス良く感じられるトムヤムクンスープだ。
ポイントは味の決め手となっている調味オイル。海老、パクチー、レモングラスなど現地ならではの豊富な生鮮原料をじっくりと繰り返し煮出すことで、素材の旨みが余すところなく詰まっている。
田代氏は「素材の調達から製法まで日本で再現することは難しい。タイならではの本格的な味わい」とアピールする。
日本では21年からテスト販売を行ってきた。スーパーなど約15企業の催事コーナーや即席麺売場に展開し、販売数量は事前の計画を上回るなど相応の手応えを得た。
本格販売に向け、課題となったのは賞味期間の確保だ。タイから船便で輸送すると約2か月かかり、日本での賞味期間が短くなるため、製品の安定供給が難しくなる事情があった。
そこでスープはタイから輸入し、麺は日本国内で調達するスキームを構想。23年から製麺メーカーの寿がきや食品と麺の共同開発をスタートさせた。現地の商品をベンチマークにしつつ、日本人の好みに合う太さやモチモチとした食感、スープとの絡み具合などを追求。賞味期間は常温8か月を実現した。
田代氏は「完成品は『Yum Yum』のスープを製造するワンタイフーヅ社のスタッフにも試食していただき、『おいしい』とのお墨付きをいただけた」と自信をのぞかせる。

5月中旬からプロモーション強化
3~4月にかけて全国のスーパーやドラッグストアで広く販売開始されている。店頭の売場は主に即席麺コーナーとなり、その他ではエスニックコーナーや中華コーナーでの展開となる見通し。5月中旬からテレビCM、デジタル広告、キャンペーンなどを順次展開する。
田代氏は「近年の即席麺市場では韓国など海外メーカーの製品が存在感を高めつつある。流通との商談では新たなトレンドとしてエスニック系への期待も感じられた」とコメント。プロモーションの垂直立ち上げで早期の認知拡大を図っていく。
内容量は「トムヤムクンヌードル」が1食96g、「トムヤムクンクリーミーヌードル」が1食98gとなっており、ボリューム感がある。3食パックも展開。オープン価格。
![]() |
![]() |