家庭用チルド麺の大手メーカーは、盛夏前の端境期に向けた提案を強化している。水やつゆでほぐすだけの即食タイプによる新しい食べ方や、人気商品の増量キャンペーンなどで需要喚起を図る。今年も夏場の猛暑・残暑が予想される中、切れ目のない仕掛けでマーケット全体の活性化を目指す。
昨年7月、記録的な猛暑に見舞われたにもかかわらず、市場では冷し中華カテゴリーが前年割れとなった。残暑の厳しかった8~9月で挽回し、春夏トータルではプラスに持ち込んだものの、業界内で「すでにボリュームの大きい7月の実績を伸ばすのは難しい」との認識が広まった。そこで「年間の売上を増やすには夏前の端境期を底上げすることが重要」(上位メーカー幹部)。
目下のターゲットは3~5月だ。スーパー等の店頭ではチルド麺の棚も秋冬商品から春夏商品への切り替えが進むが、まだ冷し麺が本格的に売れる季節には早い。各社は即食系の簡便商品を中心とした新たなメニュー提案や、気候に左右されにくいつけ麺・まぜ麺などの露出拡大を図る。
シマダヤは、「流水麺」ブランドの簡便性を生かした“サラダめん”を訴求し、涼味に限らず年間を通じた喫食機会を喚起していく。「そば」「うどん」「そうめん」などシリーズ全品のパッケージ裏面に二次元コードを入れ、カットサラダ等を使った簡便なアレンジレシピを紹介する。「冷し中華」2品は表面のシズルを“サラダめん”に変更してアピール。大手調味料メーカーとコラボレーションした販促も展開する。「商品特性の簡便に、健康など新しい価値を付与し、夏場以外にも食べる機会を創りたい」(同社)。
若年層をターゲットに新ブランド「濃厚界隈」を立ち上げた。インパクト抜群の濃厚スープが楽しめる「豚豚豚醤油冷しラーメン」など2品を投入。
日清食品チルドは、最需要期を迎える「つけ麺の達人」と「まぜ麺の達人」の2ブランドで新商品や増量企画を展開して盛り上げる。新商品「つけ麺の達人 和風鶏しょうゆ」は、淡麗・清湯系つけ麺店の食べ方を参考に開発。
「日清のそのまんま麺」シリーズにも注力する。「冷し中華」「ぶっかけうどん」などを品揃え。添付のたれ・つゆをかけるだけの超時短調理に加え、独自の配合や製法で麺の品質にもこだわっている。
東洋水産は「北の味わい つけ麺」シリーズのラインアップを強化。春夏限定で好評だった「濃厚えび味噌味」を改良して通年販売に切り替え、豚骨と魚介に辛みをきかせた「旨辛魚介豚骨醤油味」を追加した。「『大阪焼肉・ホルモン ふたご』監修 冷麺」は、全国展開する人気焼肉店のメニューを再現した話題の商品。弾力のあるなめらかな麺に、鰹節の風味とゆずの香りが特長のスープを合わせた。
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