近畿圏に拠点を置くスーパー4社(オークワ、平和堂、万代、ライフコーポレーション)が参画し、「関西SM物流研究会」がこのほど発足した。関西エリアにおける物流の情報や課題を共有し、共同配送による効率化、荷待ち・荷役作業時間の削減などに取り組む。
20日に都内で4社のトップが記者会見し、ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「先行した首都圏のSM物流研究会ではこれまでメーカー、卸に対して小売1社だと難しかった課題も解決できつつある。これを関西でもやっていく。今後も新しいメンバーは広く歓迎していきたい」などと語った。
SM物流研究会は10月23日に万代、オークワが参画し19社となった。そのうち関西に拠点を置く4社が同エリアで物流課題の解決に手を携える。
研究会は毎月開催(繁忙期の8月、12月除く)し、初回は2月20日に実施予定。当面の課題は
①物流の効率化(各社のセンター見学を行いながら、取り組みを共有)
②共同配送の検討(首都圏SM物流研究会の分科会での取り組みを参考にしながら推進)
③荷待ち・荷役作業時間の削減(特に荷役作業の削減)
とする。
参画の背景について、平和堂の平松正嗣社長は「これまでも待機時間の短縮やパレタイズ化など物流の課題に取り組んできたが、個社で解決するには限界がある。視野を広く持ち、今回の立ち上げにはしっかりとかかわっていきたい」
万代の阿部秀行社長は「例えば当社とライフのセンターは隣り合っており、共同で出来ることはありそうだ。関西エリアで4社のシェアは約31%に達する。メーカー、卸に対しても話を進めやすくなるのでは」
またオークワの大桑弘嗣社長は「24年問題が本番を迎え、今のところ通常の物流に支障が出ているわけではないが、災害などイレギュラーな事態に無理がきかなくなっている。特に生鮮品は従来に比べてトラックの運送距離が短くなってきた印象」と話した。
荷待ち・荷役作業 2時間以内が98.5%に
SM物流研究会の取り組み目標は「加工食品定番商品の発注時間見直し」「特売品・新商品の発注・納品リードタイム確保」「納品期限1/2ルールの採用」「流通BMSによる業務効率化」「予約受付システムの導入と活用」「バラ積み納品の削減に向けた取り組み」「トップの合意(トップコミットメント)」の7項目。
すでに大きな成果が出ているのは荷待ち・荷役作業時間等の短縮だ。23年10月から計測している10社の数値を見ると、ドライDCセンターにおける2時間超過のトラックは同12月の3875台、超過率13.8%をピークに減少し、直近の24年10月は426台、超過率1.5%となった。実に98.5%のトラックが、荷待ち・荷役作業2時間以内を達成したことになる。
各社でノウハウを共有し、バース予約率の向上、バラ積みからパレット納品への移行などを促進した効果が出ている。
直近19社の集計では荷待ち・荷役作業時間等2時間超過のトラック台数が2697台、超過率5.5%に上昇。今後はこの数値を下げていくことが目標の一つとなる。