イオンは、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の価格訴求型「ベストプライス」で値頃感の訴求を強めた新商品350品を投入するなどして価格戦略を強化していく。
消費者の価格感度の高まりによる食品の需要低迷を受けた動き。
10月22日、発表したイオントップバリュの土谷美津子社長は9月に実施した内閣府の消費動向調査を引き「暮らし向き」の指標が低下したことに触れる。
現場の肌感覚としても「特に今年になってから店頭で買うか買わないか迷われているお客様が非常に増えてきた。例えば、お米の前でずっと佇み悩んでおられる。このようなことを従業員からも多く聞くようになった」と語る。
こうした環境変化を受け「リニューアルではお客様に対応できない。“当たり前”をやめて全くの新商品として打ち出していく」との思いを強める。
新商品350品は、包装の見直し・物流の効率化・積載効率の改善・原材料の価格が安定したタイミングでの迅速なコスト削減などにより値頃感を創出した。
ただし、その値下げ幅は一律ではなく、1円単位の商品もあれば10円単位の商品もある。原価高騰の中で、価格に転嫁せず据え置いた商品も含まれている。
量を減らさないことを大前提に、中身の改善を図りながら“1円でも安く、1グラムでも多く”を志向している。
新商品350品の荒利率については悪化させない方針。
「(荒利率を)追求するとお客様に買っていただけない。『ベストプライス』では“数で買っていただき、また来店していただく”ということで取り組んでいる」と説明する。
「ベストプライス」からは今回、新商品350品に加えてリニューアル品150品を投入する。
これらの施策に加えて、期間限定の取り組みとして、「トップバリュ」(メインブランド)「ベストプライス」「グリーンアイ」の「トップバリュ」トータルで約100品の増量を10月末までに実施し、11月中旬から27品目を値下げする。
土谷社長は節約志向の高まりについて「入社以来、体験がないくらいの状況で非常に厳しくなっている」と指摘する。
今年の販売動向について「お米がこんな状況になる(高騰する)前は、お米を買われる方が増えて、ふりかけが一時期品切れ状態になった。お米が上がると、暑かったというのもあるが、パスタやそうめんなどの麺類が非常な伸びをみせている。トータルの購入金額が変わっていない中で一生懸命考えられている」との見方を示す。
なお「トップバリュ」の構成比は23年3月時点で「メインブランド」45%、「ベストプライス」48%、「グリーンアイ」7%。