大阪郊外にある我が街にも、外国人観光客を見かけるようになった。京都や大阪中心部は宿泊費が高騰していることから費用を抑えているのだろう。駅前のスーパーで、仕事帰りのサラリーマンに混じり、値引きされた惣菜を次々と買物かごに入れている。
▼訪日外国人数は増加の一途だが、一人当たりの消費額が減っている。観光庁の調査によると、22年は平均23.5万円だったが、23年は21.3万円に減少した。海外旅行で使う支出としては非常に安価だ。物価の低さに円安が加わって訪日のハードルが低くなり、低コストで長期間滞在する外国人が増えた。
▼観光立国を掲げながら観光税や二重価格の導入、ゴミ問題など山積する課題には後手に回っている。とある卸の社長はこの状態を業界の薄利多売と似ていると揶揄する。日本に来て安くて美味しい食を堪能してもらうのはいいがいつまでも安いままだと「利益なき繁忙」につながりかねないと。
▼税金の導入には賛否両論ある。人気観光地でオーバーツーリズムが懸念される一方、外国人を誘致して地域活性化に結び付けたい地方自治体の思惑もある。中長期的なメリット、デメリットも加味しながら、それぞれの観光地に合った柔軟な対策が急務とされる。